評・坂井豊貴(経済学者・慶応大教授)

『仕事にしばられない生き方』 ヤマザキマリ著

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 画家を目指しイタリアに貧乏留学していた著者は、あるとき人生の転機を迎えた。出産し、生計のため漫画を描き始めたのだ。やがてそれは成功し、代表作となる『テルマエ・ロマエ』が大ヒットする。

 拝金を嫌う著者は、お金には振り回されないが、人生のチャンスを見過ごしにはできない。大量の仕事を抱え込み、超過密スケジュールをこなすことになる。一家が暮らすのはシカゴだ。イタリア出身の夫は学者として身を立てるべく、シカゴ大で働いている。だが競争が激しいアメリカの名門大に、彼は疲弊する。ハイスクールに通う息子は、優秀な同級生たちに圧倒されている。家族は殺伐としていく。

 著者がシカゴに来る前までの日々は、多くのコミックエッセーで愉快に描かれている。評者はそれらで著者を知ったが、陽気なイタリア暮らしの印象が強い。だが本書で語られるシカゴでの日々は、過酷な競争社会のものだ。

 著者は仕事のやり方を変え、一家はイタリアに戻ることにする。仕事やお金とどう付き合うのか。世界を放浪してきた著者が、さまざまな土地の思い出とともに語る。(小学館新書、880円)

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48945 0 書評 2018/11/19 05:21:00 2018/11/19 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181112-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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