『NORTH 北へ』 スコット・ジュレク著

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 ウルトラマラソンなどの権威あるレースで、多数優勝してきた伝説のランナーが40歳で人生の節目を意識する。レースで勝てなくなり、情熱が湧いてこない。そこに天啓が舞い降りた。世界最大級の自然遊歩道アパラチアン・トレイル(3500キロ)の最速走破記録に挑戦するのである。

 ジュレクは持ち前の体力、経験、人脈を駆使して、記録を目指し、毎日約75キロの山道を47日間1日も休まずに走り続ける。その過酷な挑戦の報告は、読むものをハラハラさせ、時にホロリともさせる。

 人はなぜ挑戦するのか。探検家角幡唯介が解説で、この古典的命題にトドメを刺す鋭い見解を述べている。冒険者や登山者などが行動せずにいられないのは「思いついちゃったからだ」というのである。発想とは、偶然のようで実は、その行動者が生きてきた時代とそれまでの経験を反映した唯一無二の必然だと角幡は看破する。

 走り続けるジュレクも「なぜだ」と悩み、自分なりの答えにたどり着く。それは、今している行為が自分という人間なのだ、という説法のような境地だった。栗木さつき訳。(NHK出版、2000円)

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54685 0 書評 2018/12/24 05:21:00 2018/12/24 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181219-OYT8I50065-T.jpg?type=thumbnail

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