戯れの魔王 篠原勝之著…評・戌井昭人(作家)

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 甲斐駒ヶ岳の麓にアトリエを構え、そこで生活をしているクマさんこと篠原勝之さん。普段は文章を書き、野菜を育て、蓮池を作るため穴を掘ったりしている。そして月に数日間都会に行く。

 後期高齢者になったクマさんは老いを感じつつ、抵抗したり、手術をしたりして、どっこいやっている。母を看取みとり、甲斐駒ヶ岳を登り、舞踏公演に参加し、仔猫こねこを助ける。これらの出来事がクマさんのユニークな視点で書かれている。また、そのような日常がつづられている中に、若い頃のヒリヒリした日々が回想されると、不思議な緊張が走るのが大変面白い。

 タイトルの「戯れの魔王」は、舞踏家マロ(麿赤兒まろあかじ)との交流、さらに舞台に参加することになった自身を書いている。マロさんとクマさんは同学年だが、「すれ違いで、同ジダイに別々の世界を斜に過ごしてきていた」と本文にある。この二人が同じ舞台に立つだけですごい事だ。そして山の日常が舞台の非日常につながっていく様がスリリングで、奮闘するクマさんに声援を送りつつ、いつの間にかこちらが力をもらっていた。(文芸春秋、1800円)

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458767 0 書評 2019/02/24 05:00:00 2019/04/02 16:32:30 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190226-OYT8I50059-T.jpg?type=thumbnail

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