遺伝子・多様性・循環の科学…門脇浩明、立木佑弥編

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 評・三中信宏(進化生物学者)

 生態学は、個々の生物に関するミクロな生態研究から、物理的環境まで含む生態系のマクロな動態にいたるまで、さまざまな研究分野から構成されている。過去の研究の成果に加え、遺伝子情報や統計モデリングなど新たなツールが導入されて、生態学は大きく変容してきた。

 本書は、進化生態学と群集生態学と生態系生態学という三領域を隔ててきた「壁」を超えたつながりを求める若手生態学者グループによって編まれた。現代生態学の最前線を広く見渡すことができる本書はけっして到達点ではない。むしろ本論集に詰め込まれた内容は、系統学的生態学などまだ書かれていない内容とともに、将来への道筋を示唆している。生物多様性の理解を目指して、生態学はこれからもさらなる“学問的越境”を続けていくだろう。

 複数の著者が分担執筆した論集は全体としてのまとまりに欠けることが少なくない。しかし、本書は縦糸である個々の章をたがいに結びつけるコラムやテクニカルノートなど読者に配慮した横糸的工夫が随所に見られる。編者の労をねぎらいたい。(京都大学学術出版会、3700円)

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615146 0 書評 2019/06/02 05:00:00 2019/06/10 11:49:37 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190610-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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