殴り合いの文化史 樫永真佐夫著

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 評・通崎睦美(木琴奏者)

 本書の厚みは、3・5センチ。拳が浮かび上がるカバーの下は、モノクロの抽象画のような表紙。その中央にボクシング・リングを見つければ周りの無数の点が観客の頭だと認識できる。表紙をめくると現れる真黒の見返し、そして深紅の扉が続く。「ボクシングの歴史」にとどまらず、壮大な「殴り合いの文化史」を語るにふさわしい迫力のある造りだ。かつて、ボクシングジムに通っていた私は、多少の気負いを持って読み始めた。

 あに図らんや、読者に戦いを挑むような内容でもなければ、抽象的、観念的な暴力論でもない。ボクシングを愛するオトコの縦横無尽にひろがる語りを夜な夜な聞いている、そんな柔らかみのある本だ。例えば、女性とボクシングの章では、<江戸時代には、女同士が乳房もあらわに闘う女相撲が、色物として行われていた>など、小ネタ的話題もふんだんに挿入される。

 読み進めれば、表紙は1921年、アメリカにおける史上初100万ドル興行の写真で、無数の点は詰めかけた8万人の大観衆だとわかった。

 手元において、好きなところから読み始めたい一冊。(左右社、3700円)

無断転載禁止
639899 0 書評 2019/06/16 05:00:00 2019/06/24 11:28:18 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190624-OYT8I50008-T.jpg?type=thumbnail

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