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評・通崎睦美(木琴奏者)

本書の厚みは、3・5センチ。拳が浮かび上がるカバーの下は、モノクロの抽象画のような表紙。その中央にボクシング・リングを見つければ周りの無数の点が観客の頭だと認識できる。表紙をめくると現れる真黒の見返し、そして深紅の扉が続く。「ボクシングの歴史」に
あに図らんや、読者に戦いを挑むような内容でもなければ、抽象的、観念的な暴力論でもない。ボクシングを愛するオトコの縦横無尽に
読み進めれば、表紙は1921年、アメリカにおける史上初100万ドル興行の写真で、無数の点は詰めかけた8万人の大観衆だとわかった。
手元において、好きなところから読み始めたい一冊。(左右社、3700円)