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鐘の本 ヨーロッパの音と祈りの民俗誌…パウル・ザルトーリ著

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 評・三中信宏(進化生物学者)

 日本では、近在の寺から朝夕に鳴る時の鐘や大晦日おおみそかの除夜の鐘を耳にする。ドイツの古い街を歩けば、教会の鐘楼から鐘の音が四方に響きわたる。二つの世界大戦にはさまれた不穏な時代のヨーロッパでは、数多くの歴史的な鐘が国策により鋳潰され武器にされる危機にひんしていた。著者は当時のドイツ国内をくまなくめぐり、鐘をめぐる逸話や民話を懸命に蒐集しゅうしゅうした。

 ドイツの鐘は饒舌じょうぜつだ。冠婚葬祭の祝辞や弔辞はもちろん、うらみつらみやとりとめない言葉遊び、はては厨房ちゅうぼうでの料理の出来具合までしゃべるつぶやく。彼の地の鐘は自分で鳴ったり歩いたり翼を付けて空を飛んだりもするらしい。日本で言えば室町時代につくられたとされる『百鬼夜行絵巻』に登場する「鐘の付喪神つくもがみ」を連想させる。

 本書はドイツに深く根ざした「鐘」の歴史と文化と民俗の基本文献だ。原書は1932年出版。もう90年も前の本だが、今回の翻訳に際して原書にはまったくない鐘の写真や古い絵を数多く追加しただけではなく詳細な巻末解説記事が付されていてとてもありがたい。吉田孝夫訳。(八坂書房、3200円)

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使い方
747529 0 書評 2019/08/18 05:00:00 2019/08/26 10:25:35 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190826-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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