日本国民のための愛国の教科書 将基面貴巳著

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評・鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 やっぱり国を愛さなければならない、のか?

 外交だけでなく、日々の心の持ち方を考える上でも重要な疑問を、七つのレッスンでわかりやすく解きほぐす。

 日本生まれの著者は、20代からの四半世紀以上を海外で過ごす。いま教鞭きょうべんをとるニュージーランドでも日本人としての意見を求められる。だが本書は、外から日本を批判するありがちな内容とは違い、同胞に厳しくやさしい。

 「国を愛することは簡単なことか?」との問いに対し、著者は、ヨーロッパ政治思想史の専門家らしく、歴史への教養と洞察にもとづき冷静に思考を進め、「愛国」という日本語をパトリオティズムと位置づける。

 古代ローマ由来の、市民にとって重要な価値を自分たちで守るために祖国を愛する考え方だ。適切な愛国心とは、「国を愛するからこそ国を厳しく批判する」態度である。そんな著者への異論も含め、幅広く末長く議論を進めるための教科書という名にふさわしい。自身や家族の体験に根ざす文章は、著者の『愛国の構造』(岩波書店)と合わせ、深い覚悟へ読者をいざなう。(百万年書房、1680円)

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784241 0 書評 2019/09/08 05:00:00 2019/09/17 16:18:09 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190917-OYT8I50004-T.jpg?type=thumbnail

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