「たぷの里」 藤岡拓太郎著

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 まげにまわし、あんこ型の体。たぶん、どう見ても、お相撲さんだ。うん。

 「とぼ とぼ とぼ」と男の子が歩く。と思ったら次の瞬間「たぷ」と上からかぶさってくる。「ぴょーん ぴょーん ぴょーん」と女の子が跳ねる。ページをめくると、また「たぷ」と上からかぶさってくる。

 延々その繰り返し。説明もなくセリフもなく、ただひたすら「たぷ」の文字だけが大きくなっていく。意味がなさすぎて、あなたはだんだん不安になってくるだろう。日常のさまざまな風景を一瞬で虚無化する、この「たぷの里」は本当にお相撲さんなんだろうか。人間なんだろうか。

 でも、意味など考えてはいけない。ためしに、この本を大きな声で音読してみてほしい。「たぷ」と一つ言うたびに、体の内側に虚無が広がっていく。そしてその感じは、なんだかふしぎと気持ちいいのだ。(ナナロク社、1200円)評・岸本佐知子

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784244 0 書評 2019/09/08 05:00:00 2019/09/17 16:41:03 「たぷの里」 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190907-OYT8I50044-T.jpg?type=thumbnail

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