雅楽のコスモロジー…小野真龍著

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

評・加藤 徹(中国文化学者、明治大教授)

 キリスト教の音楽は、ユダヤ教やイスラム教では演奏しない。約1400年の歴史をもつ雅楽は、仏寺でも神社でも、宮中でも演奏する。神仏習合、という単純な話ではない。著者は言う。

 「雅楽の背後には、カミ・ホトケ・スメラミコトがせめぎ合って織り成した歴史の壮大な宗教的空間が広がっているのです」

 奈良時代の大仏開眼かいげん供養会は、日本雅楽の成立前夜祭とも呼ぶべき一大イベントだった。天皇の統治を仏法で権威づける意図があった。が、皇統神話の血統主義と仏教救済の平等原則の違いは大きい。仏法での権威づけは、かえって王法の権威を弱めるという矛盾。道鏡事件や神仏分離は矛盾が顕在化した例だ。日本の神仏は「習合」はしても「融合」はしない。国家を含めたせめぎ合いは現代も続く。

 雅楽の宗教性と、その背後にある日本人の霊性を説き明かし、日本史の機微を浮き彫りにする著者は、聖徳太子以来の伝統をもつ天王寺楽所がくその雅楽の伝承者であり、京大の博士学位をもつ学者であり、浄土真宗の住職でもある。知的でスリリングな本だ。(法蔵館、2200円)

無断転載・複製を禁じます
914582 0 書評 2019/11/24 05:00:00 2019/12/02 10:28:23 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191202-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

NEW
参考画像
500円400円
参考画像
ランチでご来店のお客様にジェラートをサービス
参考画像
アクティビティご利用でソフトドリンク1本サービス

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ