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ベトナムの大地にゴングが響く…柳沢英輔著

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 評・三中信宏(進化生物学者)

 ベトナム中部高原のゴング音楽文化に関する新刊。紀元前から継承されてきた金属打楽器のゴングは葬礼儀式など先住民族の歴史に深く根ざしている。さまざまな音程と形状をもつゴングセットの製造・流通から演奏様式まで、著者は現地調査を通じて明らかにする。さらに楽器としてのゴングの音響特性・演奏様式・チューニング技法に関する音楽学的な考察をリンク動画によって示した点は本書の大きな魅力だ。ベトナム古来のゴング音楽の息吹が文字と音源と映像の三つどもえで押し寄せてくる。

 西洋音楽では銅鑼どらやゴングが鳴り響くのは決まって「生と死」あるいは「聖と俗」の境界をまたぐときだ。もう十数年前のことだが、新宿区民オペラがプッチーニの歌劇「トゥーランドット」を上演したとき評者は木琴奏者として参加した。総譜には「中国ゴング」が楽器指定されていたが、実際には12個ひとそろいのベトナム製ゴングセットを用いた。いにしえの精霊が宿るとされるゴングのうなりは、生者と死者が行き交うこの歌劇の筋書きにぴったりの音響空間をかたちづくっていた。(灯光舎、2700円)

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996284 0 書評 2020/01/12 05:00:00 2020/01/20 10:54:07 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200120-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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