古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。…勝又基編 文学通信 1800円

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議論成立へ理論武装を

 評・飯間浩明(国語辞典編纂(へんさん)者)

◇かつまた・もとい=明星大教授。専門は日本近世文学・文化。著書に『落語・講談に見る「親孝行」』など。
◇かつまた・もとい=明星大教授。専門は日本近世文学・文化。著書に『落語・講談に見る「親孝行」』など。

 2022年度からの学習指導要領で、高校国語の古典の扱いが軽くならないか、と懸念する意見があります。高校時代の評者のように、入試で古典を貴重な得点源とする受験生が、今後不利益を被ることがないよう祈ります。

 高校の古典にとどまりません。近年は、大学の日本文学系学科も縮小され、日本文学の研究者も減少し、本書の編者の表現によれば、古典研究・教育は「危機にひんしている」。

 考えてみれば、古典なんて、一般の社会人の生活とはほとんど関係ない。高校の古典は、必修をやめて選択科目にしてもいいのでは。そういう意見も説得力を持ちます。

 でも、本当にそうなのか。大学の日本文化学科で教える編者たちは問題意識を抱き、シンポジウムを開催しました。本書はその内容を、質疑応答なども含めて文章化したものです。

 古典研究者だけの身内の議論ではしかたがない。そこで、古典不要論(選択科目化論)を掲げる理工系の論者を招き、古典研究者と議論してもらうことにした。これで不要論者を説得できれば、世の中に問題提起できるはずです。

 結果は衝撃的でした。古典研究者側は、不要論者側から出された論点に対し、「反論のための反論はしない」と、正面からの答えを放棄してしまいます。研究者自身が、古典教育への疑念に答える準備が十分でないのです。

 このままでは、本当に古典が要らないことになってしまう。それでいいのか。本書は、古典の研究者・教育者たちに、議論を成立させうるだけの理論武装を求めるものです。

 古典必要・不要論に関しては、論点の整理も十分でないように見えます。かりに「枕草子」は好きな人だけが読めばいいとしても、文語文そのものが読めなければ、江戸時代以前の記録はおろか、戦前の法律さえ理解できません。「古典」と「文語文」を区別するだけでも、議論がよほど分かりやすくなるはずです。

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996296 0 書評 2020/01/12 05:00:00 2020/01/20 10:52:45 (20日、読売新聞東京本社で)=萩本朋子撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200111-OYT8I50038-T.jpg?type=thumbnail

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