ブロニスワフ・ピウスツキ伝 沢田和彦著

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 評・加藤聖文 歴史学者・国文学研究資料館准教授

 サハリン(樺太)は、不思議な島だ。日本では、北の最果ての島といったイメージしかない。かつて、この島の南半分が日本の領土だった歴史すら、忘れられつつある。

 しかし、サハリンは、日本とヨーロッパをつなぐ架け橋として、多様な民族の歴史が絡み合う島だった。

 本書は、川越宗一の直木賞受賞作『熱源』に登場するピウスツキの、小説以上に数奇な生涯を丹念に追った労作だ。

 亡国のポーランド貴族の末裔まつえいが、ロシア皇帝暗殺計画に連座、流刑にされたサハリンで少数民族の生活に触れ、民族学者として開花する。彼が集めた記録は、失われた少数民族の生活文化を今に伝える貴重な遺産となった。

 ピウスツキの活躍は、日露戦争前夜から第1次世界大戦・ロシア革命にいたる激動の時代と重なる。そして、政治の狂乱が、彼を祖国独立目前での非業の死に追いやった。

 ポーランド・リトアニアと日本の歴史が、サハリンの少数民族を媒介として結びつく……。ピウスツキ、そして日本に残された樺太アイヌの妻子の人生は、ユーラシア史そのものだった。(成文社、4000円)

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1031992 0 書評 2020/02/02 05:00:00 2020/02/10 15:56:29 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/02/20200210-OYT8I50001-T.jpg?type=thumbnail

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