2050年 世界人口大減少 ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン著 文芸春秋 1800円

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避けがたい人類の老化

 評・仲野 徹(生命科学者 大阪大教授)

◇Darrell Bricker=調査会社イプソスのグローバルCEO◇John Ibbitson=カナダのジャーナリスト。
◇Darrell Bricker=調査会社イプソスのグローバルCEO◇John Ibbitson=カナダのジャーナリスト。

 人間社会の大転換期を迎えるのだろうか。有史以来、ペスト大流行といった例外的な時代を除き、人類は増加の一途をたどってきた。なんと、それが近い将来、減少に転じるというのだ。

 マルサス以来、人口増加による危機という考えが広く行き渡っている。なので、減少するのは望ましいと考える人もいるだろう。しかし、それは必ずしも正しくない。世界中の高齢化、イノベーションの停滞は言うにおよばず、生活水準の維持すら困難になってしまうのだから。

 近未来予測はあまり当たらないというのが相場だが、人口動態予測だけは例外である。現在生きている人の数と平均余命、それと出生率から推計すると、大きく外れることはないためだ。

 国連の予測では、現在の77億人が、今世紀いっぱい増え続け110億人に達するとされている。これに対し、20~40年後には90億人程度でピークを迎え、その後は減少に転じると考える人口統計学者の声が大きくなってきている。

 国連の出生率見積もりが高すぎるというのがその根拠だ。事実、中国とインドという二大「人口大国」における出生率の低下はすでに始まりつつある。さらに、当面の間は人口増加が続くとされてきたアフリカでも、遠からず出生率が低下していくはずだと予測する。それはなぜか。

 出生率低下の原因は意外とシンプルで、都市化と教育、特に女子教育の充実に尽きる。社会システムの進歩とでもいうべきこの二つを押しとどめることなど、誰にもできはしない。

 さらに、低出生率のわな――出生率2以下が一世代以上続くと、それが皆の常識になってしまうという罠――がある。一旦いったんその罠に陥ると、人口が増加に転じることはないという。日本では、2を切ってからすでに45年だ。さて、出生率についてのあなたの「常識」はどうだろうか。

 いわば、人類の老化が始まろうとしている。どうやら、それまでに残された時間はあまり長くなさそうだ。倉田幸信訳。

 <注>原題は「EMPTY PLANET:The Shock of Global Population Decline」です。

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1134550 0 書評 2020/03/29 05:00:00 2020/04/08 10:02:48 書評(21日、東京都千代田区で)=横山就平撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200328-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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