ステレオタイプの科学 クロード・スティール著

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 評・鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手

 印刷に使う鉛版(ステレオタイプ)のような紋切り型の見方に、なぜ、とらわれるのか。社会心理学の見地から、数々の実験で解きあかす。

 米国の有名大教授となった著者は、自らの黒人としての体験や、出会った学生たちをつぶさに見つめる。偏見そのものよりも、それを意識する恐れの方が強いと気づく。

 たとえば女性は数学が苦手という固定観念を打ち破ろうと気張るあまり、逆に点数が下がる傾向にあらわれる。

 黒人だけではなく、白人が少数になる時も当てはまり、心ばかりか体をもむしばむ。

 性別や人種にかかわらず、悪意を感じなくても、環境になじもうとする限り、誰もが常に突きあたる経験だろう。

 しかし、状況に潜む小さなしるしを取り除けば、言葉でなく行動により安心させられる。原題「ヴィヴァルディを口笛で吹く」の意味もわかる。

 藤原朝子による「訳者あとがき」は原著刊行から10年の変化を簡潔に埋め、北村英哉の日本語版序文も懇切だ。

 翻訳と編集の手腕により、小説のように読める本書は、今の米国社会が直面する困難を深く考えるために必読だ。(英治出版、2200円)

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1276073 0 書評 2020/06/14 05:00:00 2020/06/22 10:56:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200619-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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