明日咲く言葉の種をまこう 岡崎武志著 春陽堂書店 2000円

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◇おかざき・たけし=1957年生まれ。文筆家、書評家。著書に『上京する文學』『蔵書の苦しみ』など。
◇おかざき・たけし=1957年生まれ。文筆家、書評家。著書に『上京する文學』『蔵書の苦しみ』など。

思わず膝を打つ名言集

 評・通崎睦美(木琴奏者)

 小説、随筆、評論、詩集、漫画から映画やドラマの名セリフまで。幅広いジャンルからセレクトした、100の言葉をテーマに書かれた100編のエッセイ。

 <わが生は かくのごとけむ おのがため 納豆買ひて かへるゆふぐれ>(斎藤茂吉)。著者はこんな歌が身にみる63歳。<今日は今日の悔を残して眠るべし 眠れば明日があり闘いがある>。山崎方代の1首を手帖てちょうの扉に書き付け、物事に立ち往生した時などよく読むそうだ。

 金のみで生きる拝金主義からは名言が生まれないと考える著者は、<正直に生きるということは それだけでもいいものだぞ>と、山本周五郎「主計は忙しい」からの言葉を引く。

 本書の面白味は、幅広い引き出しから言葉がつながっていくさまである。例えば、<スランプってないんですよ。トップに立とうと思ってませんから>。イラストレーター・和田誠の一言から、河野多惠子が紹介する先輩作家、伊藤整の<努めて素直になりなさい。ねてはいけません。素直になるのが、スランプから抜け出す最短の道です>を導き出す。原典を読めば、さらなる広がりがのぞめるだろう。

 膝を打ったのは、<小さいことについては悩め、大きなことについては即断しろ>。内田樹、平川克美、名越康文による鼎談ていだん『僕たちの居場所論』(角川新書)からニーチェの言葉らしい、という名越の発言。大きなことは、普段からそのことについてちゃんと用意しているので、自然と結論が出る、ということのようだ。コロナ渦中の為政者には、耳の痛い言葉なのではないだろうか。

 サーファーのジェリー・ロペスのこんな名言も気に入った。<挑むのではない、待つのでもない。波そのものになる>。いつの日か、木琴の演奏においても、そんな境地に達してみたいものだ。

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1276084 0 書評 2020/06/14 05:00:00 2020/08/04 17:15:34 書評 「明日咲く言葉の種をまこう」 岡崎武志(1日、東京都千代田区で)=若杉和希撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200613-OYT8I50037-T.jpg?type=thumbnail

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