京都まみれ 井上章一著

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評・通崎睦美(木琴奏者)

 京都市内でも「洛中」と「洛外」では、住む人の意識が違う。そこに切り込んだのが、ベストセラーになった著者の『京都ぎらい』だった。

 本書では、どこか偉そうな洛中の京都人に一太刀あびせたいという洛外派の著者が、東京からの視点も交え、京都至上主義者へ異議を唱える。

 洛中人の自尊心をくすぐる文化庁の京都移転は、官僚からすれば「都落ち」。しぶしぶやってくるのだ。あるいは、羊羹ようかんのとらやが京都の老舗であることは、東京の人にとってどうでもいいこと、と説く。

 興味深いのは40年程前京大出身の著者が洛中の京都人から言われた一言、「ベストは同志社」。ここから受験競争的価値観とは無縁な、商家が支えた京文化の奥行きを伝える。

 前著に続き新たなエピソードと共に登場する、山鉾町の古い町家に暮らしたフランス文学者・杉本秀太郎の『洛中生息』、京都中華思想として引用される梅棹忠夫の『京都の精神』。本著と合わせて読めば、失われつつある京都人の機微が、いとおしく感じられるのではないか。洛中から100メートルほど洛外に住む私は、そんな風に読んだ。(朝日新書、810円)

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1290266 0 書評 2020/06/21 05:00:00 2020/06/29 14:36:53 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/06/20200629-OYT8I50017-T.jpg?type=thumbnail

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