琉球王国の象徴 首里城 當眞嗣一著

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評・佐藤 信(古代史学者、東京大名誉教授)

 世界文化遺産の史跡首里城跡の復元正殿が2019年10月に焼失した衝撃的映像は、沖縄贔屓びいきの者には涙無くして見られなかった。

 琉球王国の中心建物で、戦前は沖縄神社拝殿の旧国宝であった正殿は、沖縄戦の「鉄の暴風」で吹き飛ばされ、戦後は琉球大学の校舎が立ち並び、跡形もないと思われていた。しかし発掘調査によって、琉球固有の歴史文化を語る遺跡が残ることが判明し、世界遺産の根拠ともなった。

 本書は、発掘成果の全貌ぜんぼうを東アジアの歴史に位置づけつつ手際よく紹介する。琉球のグスク時代やアジアの大貿易時代における琉球王国の成立、第一・第二尚氏や島津入りなどの歴史中の首里城を、史料もあわせ活写している。

 発掘の結果、従来の説は改められ、正殿が14世紀に造営され、その後焼失と再建が続いた推移がわかった。また城壁・門の構造や石積技術、高麗・大和・明系瓦の変遷そして貿易陶磁器が示す国際交流の実像も明らかになった。

 今後の正殿復元では、県民の願いに沿い首里城の価値の再確認から出発すべきとする提言を、重く受けとめたい。(新泉社、1600円)

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1320050 0 書評 2020/07/05 05:00:00 2020/07/13 14:22:25 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200713-OYT8I50001-T.jpg?type=thumbnail

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