政治改革再考 待鳥聡史著

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評・苅部 直(政治学者・東京大教授)

 一九八〇年代末から、日本の政治・行政には、小選挙区制の導入や内閣の機能強化など、大きな改革があいついだ。日本銀行・大蔵省改革、司法制度改革、地方制度改革まで含めれば、広い意味での政治改革が十五年ほどにわたって続いたことになる。

 最近、この改革の評判は芳しくない。首相の強い権力が官僚の「忖度そんたく」を生んだとか、政治家が小粒になったとか。政界の熱病や、「新自由主義」をめざす財界の陰謀が生んだ運動のように語る人もいる。

 しかし本書で待鳥聡史は、社会が広く変革を求めていた状況を再検証し、諸改革のすべてに一貫する理念をとりだして見せる。制度疲労を起こしていた政府機構を合理化して、市民の意向を十分に実現できる形へ、国家のしくみを変える試み。実質上の憲法改革とよべるような、統治のルールの大改正であった。

 ただし理念の具体化の過程で生じたひずみや、手つかずの分野も少なくない。本書は政治学の最新の研究を多く用いながら、改革の歴史を語りなおす。今後の課題を考えるための、必見の見取図がここにある。(新潮選書、1400円)

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1336238 0 書評 2020/07/12 05:00:00 2020/07/20 11:25:38 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200720-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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