世界薬用植物図鑑 M・シモンズ、M=J・ハウズ、J・アーヴィング著 原書房 3800円/知っておきたい 日本の絶滅危惧植物図鑑 長澤淳一、瀬戸口浩彰著 創元社 1800円

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紙の上の博物館巡り

 評・宮部みゆき(作家)

 ここで一緒にご紹介する二冊は、どちらもオールカラーの植物図鑑だというだけで、中身はまったく違う。『知っておきたい 日本の絶滅危惧植物図鑑』は、主な絶滅危惧植物百種類以上を解説して、当然のことながら一定の緊張感を漂わせている。日本の絶滅危惧種の半分以上は植物なのだそうだ。私たち読者も、掲載されている写真のなかに、あるいは巻末の索引のなかに、身近に知っているつもりでいた植物を発見して、いささかショックを受けることになる。

 一方、美しいイラストで描かれる『世界薬用植物図鑑』には、ファンタジー世界に遊ぶような楽しさがあふれている。ただし、イギリス王立植物園キューガーデン版であるこの図鑑は、たいへん実用的でもあって、自家製ハーブティーやオイル、チンキ剤、クリームなど伝統的に安全が確認されている二十四種類のハーブ治療薬の作り方が写真付きで解説されている。ガーデニングがお好きな方には、薬草をガーデニングに取り入れるための情報が参考になるだろう。柴田譲治訳。

 一冊の図鑑は、紙の上の博物館だ。プロの研究者の案内付きの研究所巡りにたとえてもいい。ページをめくれば、家にいながらにして探検や採集に出かける気分を味わうこともできる。

 動物、植物、鉱物、微生物、人体、宇宙、海洋、深海、地球そのもの、太陽系、火山、重機、動力機関、発電所、様々な工具、乗り物、着物、紋様、世界遺産と世界自然遺産。ざっと書棚を調べてみたら、我が家にはこういう図鑑があった。まだまだ物足りない。今回並べてみた二冊のように、同じ「植物」を扱っても、テーマの捉え方、分類の仕方でまったく異なる図鑑ができあがる。近年、写真や図版の豊富な大型本が比較的安価になってきていることにも大人買いを誘われるではありませんか。

 ◇Monique Simmonds=キュー王立植物園副部長◇ながさわ・じゅんいち=京都府立大客員教授◇せとぐち・ひろあき=京都大教授。

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1336244 0 書評 2020/07/12 05:00:00 2020/07/20 11:25:18 モニク・シモンズ、メラニー=ジェイン・ハウズ、ジェイソン・アーヴィング「世界薬用植物図鑑」長澤淳一「日本の絶滅危惧植物図鑑」(29日午後1時36分、本社で)=沼田光太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200711-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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