まんが訳 酒呑童子絵巻 大塚英志監修、山本忠宏編

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評・佐藤 信(古代史学者・東京大名誉教授)

 古典の絵巻物を、現代まんがの手法で表現し直す「まんが訳」の試み。

 まんが訳では、絵巻物を解釈して、その画面を部分的に切り貼り・コマ割りし、せりふの吹き出しを付けて見開きの紙面構成に組み改める。

 絵巻の画を利用して再構成することから、まんが家が作画する古典再生の創作とはいえないが、人物表情の大写しには迫力があり、古典を現代に再現する一手法といえる。

 絵巻物は、絵画と詞書ことばがきが交互に続く巻物をひろげながら物語が展開する。その古典美術的価値を尊重する立場からは、まんが訳に疑念を感じる人もいよう。その点、本書がまんが訳した『酒呑童子絵巻』等の絵巻は、監修・編者の属する国際日本文化研究センター所蔵ゆえ、出版できたとも思われる。

 しかし最近は、古典の現代語訳よりもまんが・アニメによる翻案の方が親しまれてもいる。まんが版の日本の古典・歴史が各種刊行され、多くの読者を獲得している。

 まんが訳で絵巻物研究がどう深まるかは課題だが、古典への入口を広げる研究可視化の試みとして、評価できる。(ちくま新書、980円)

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1336248 0 書評 2020/07/12 05:00:00 2020/07/20 11:25:40 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200720-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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