公文書危機 毎日新聞取材班、大場弘行著

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毎日新聞出版 1500円
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説明責任への甘い認識

 評・加藤聖文 歴史学者・国文学研究資料館准教授

 今でも行政に根強く残る「最後に決まったものがあればいい」という発想は、説明責任や政策評価が求められる現代には合わなくなった。

 政治は情だ、見聞きしたことは墓場まで持っていく、だから文書にしない。阿吽あうんの呼吸と腹芸で動いてきた日本の政治、説明責任はおろか政策評価の発想もない日本の行政――。取材班代表の1970年代生まれの記者が取材を通して政治家や官僚に抱いた違和感は、この価値観のギャップだったのではなかろうか。

 本書は、近年世上を騒がす公文書問題、その公文書は一体どんなもので、どのように扱われているか、何が問題なのか、新聞記者らしい視点と行動力で核心に迫ったレポートだ。

 すでに、一般社会では「説明責任」という言葉が定着したが、なぜか政府や官公庁では無縁である。国家の国民に対する説明責任は、政治家の言葉ではなく公文書によって果たされる。公文書とは、政治家や公務員の仕事の証明書だ。

 読者は、公文書から意図的に外される電子メールの使われ方、首相の手元にあった文書の辞職後の行方、内閣官房や官邸にある(はずの)文書の実態などなど、一口に公文書といっても中身は実に多様であることに気づくだろう。

 さらに、政治家や官僚の公文書に対する認識の甘さと想像力の貧困さに愕然がくぜんとするかもしれない。

 公文書は「情報」でもある。公文書化を避けるために頻繁に使われる私用メールは安全面で大問題、首相保管文書の管理体制の甘さは機密情報の外部漏洩ろうえいにつながる。公文書は重要な情報資源なのだから、管理がいい加減では済まされない。

 また、公文書の作成から管理までがルール化されていれば、仕事は楽になるし、説明責任も果たせて、政策評価も可能だ。さらには、余計な仕事も減って生産性が上がり、働き方改革にもつながる。官庁にとってもメリットは多いので、是非とも公文書に対する感度を高めて欲しい。

 ◇おおば・ひろゆき=1975年生まれ。毎日新聞「公文書クライシス」取材班代表。現在、東京社会部。

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1336254 0 書評 2020/07/12 05:00:00 2020/07/20 11:25:50 毎日新聞取材班「公文書危機」(29日午後1時46分、本社で)=沼田光太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200711-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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