右向け~っ、左!! 水森亜土著

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評・木内 昇(作家)

 「キャッホー」の声とともに、透明なアクリル板に両手で絵を描く姿に夢中になった。こんな楽しそうに生きている大人がいるのかと感動すらした。その亜土ちゃんの、来し方を描いたエッセイ。

 生まれは日本橋。空にはかもめが飛び、川には七輪を載せたイカダが浮かんでいた。遊び人の父と日本橋小町と名高い母。父が女連れで表を歩けば、母の「たたいておいで」の号令で幼い亜土ちゃんがほうき片手にひとっ走り。祖父とは寄席に、遊び場は三越のライオンと、どの逸話も粋だ。

 首都高速着工に、日本橋の風景が一変してしまうと憤りながらも、開通するや高速を飛ばして家族でドライブ。美大に落ちれば、サッとハワイに留学する。イジイジする暇はないとばかりに切り替え、思い立ったら即行動。ジャズや絵に果敢に挑戦していく。

 もちろん苦労だってある。女好きの夫に手を焼いたり、結婚と同時に義父の介護がはじまったり。けれど、腹の据わったおしゅうとめさんはじめ人々と豊かに交わり、あっけらかんと幸せを見付けていく。亜土ちゃんはやっぱり、人生を隅々まで謳歌おうかする天才だった。(河出書房新社、1500円)

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1365720 0 書評 2020/07/26 05:00:00 2020/08/03 11:19:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200803-OYT8I50021-T.jpg?type=thumbnail

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