たん・たんか・たん 美村里江歌集 美村里江著
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評・通崎睦美(木琴奏者)
編集者から「歌集を作りませんか」と誘われた著者は、1984年生まれの女優・エッセイスト。短歌初心者の彼女は、千本ノックをこなすかのように、2年5か月かけて700首の歌を詠んだ。
テーマ別に並ぶ236首の短歌に10編の書き下ろしエッセイを挟み込む趣向。巻末には700首を
当初は気負いがみられるも、趣味の渓流釣りでの体験から短歌も釣りも<ズルが効かない>と気付き、等身大の自分を映し出す。
<焼き餅の見栄えのいいのはあなた用雑煮で示す「今年もよろしく」>。誰にでも思い当たる日常のちょっとした「愛」が、かわいらしく詠まれる。
作歌未体験の読者も、「一度、短歌作ってみようかな」と思わされるのではないだろうか。(青土社、1800円)