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カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは狂暴、イルカは温厚って本当か? 松原始著 山と渓谷社 1500円

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◇まつばら・はじめ=1969年生まれ。東京大総合研究博物館・特任准教授。研究テーマはカラスの行動と進化。
◇まつばら・はじめ=1969年生まれ。東京大総合研究博物館・特任准教授。研究テーマはカラスの行動と進化。

ありのままの動物理解

評・宮部みゆき(作家)

 著者の専門は動物行動学。「動物がどういう行動をし、その行動にはどんな意味があるのか」「そのとき、その動物のなかではどんなことが起こっているのか」を観察し、研究する学問だ。そういう研究者の立場で、冒頭から明快に記している。

 「動物行動学の目を通した動物は、決して世間で思われている通りの姿をしていない。第一、動物の行動はそんなに単純ではない」

 本書のタイトルは、動物行動学者ではない私たち一般人が、素直に抱いている動物のイメージを列挙している。ずる賢い、頭が悪い、凶暴、温厚。このように、ある動物を一定のイメージで固めてしまうのは、その動物をキャラクター化するということだ。私たちはこの作業をごく自然にこなしており、そこから生まれるドラマや物語を楽しんでいる。たとえば『ジャングル・ブック』や『ライオン・キング』。CGアニメの『ズートピア』は、こういうキャラクター化をひとひねりしたお話だが、それも大多数の観客が「ある共通イメージで動物をキャラクター化できる」ことが前提になっている。

 私たちは動物が大好きだ。でも、動物をありのままに見つめ、受け入れるのは苦手だ。それでは本当に動物を理解することにはならないし、それぞれの動物固有の生き方に「敬意」を払うこともできないと、著者は主張する。

 本書は動物行動学の入門書として楽しく、新鮮なびっくりもいっぱいだ。屍肉しにくあさるハゲタカはハゲだから清潔に生きられる。「鳥アタマ」と笑われる鳥類も道具を使う。「群れの論理」は時と場合によって変わるから、一匹おおかみは孤独を好んでいるわけじゃない。アライグマは実は攻撃性が高い。人間はどうしても「見た目のいい生き物を贔屓ひいきする」から、そういう意味では「動物は見た目が10割」だ――。

 著者はカチンと怒っている。親しみやすく明るい文調で、とても人間的に。

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1556567 0 書評 2020/10/18 05:00:00 2020/10/26 10:57:05 [書評] 「カラスはずる賢い、ハトは頭が悪い、サメは凶暴、イルカは温厚って本当か?」 松原始(6日、東京都千代田区で)=若杉和希撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201017-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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