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人間とは何か 中条省平著

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評・鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 これぞ教養、という一冊だ。マンガ、映画、ジャズと多彩な分野で目利きとして頼りにされる著者が、フランス文学という本拠地への愛を紡ぐ。

 18世紀のサドから20世紀のマンシェットまで31人を元に文学史を説くだけではない。それらを読んだ10代の記憶、学生たちの反乱の季節だった〈1968年〉をも論じる。

 約600ページの分厚さでタイトルへ正面から向かう。進んだ西洋の目で日本を斬るのでは全くない。触れたのが翻訳だからこそ、彼我の違いを縦横無尽に解き、読み手を飽きさせない。著者の名刀は、ゴダールとビートルズとコルトレーンに「自分の限界から脱出しつづけたこと」を共通点として切り出し、圧巻だ。

 「未知の世界に触れたい」欲望が著者を乱読へ導いた。澁澤龍彦や齋藤磯雄ら伝説の翻訳者、映画批評の師・松本俊夫らとの偶然かつ必然の出会いの末に、文学者になる。

 ヴェルレーヌの詩に関する後日談、マグロ漁船の船長だった父とのヴェルヌを通した交流は人生の機微を伝える。多読が支える教養を、落語家志望だった著者が軽妙に語る本書は、世界を教えてくれる。(講談社、3500円)

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1556574 0 書評 2020/10/18 05:00:00 2020/10/26 10:56:44 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201022-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail

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