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杉本博司著 「江之浦奇譚」

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(c)Hiroshi Sugimoto
(c)Hiroshi Sugimoto

 光を浴びてたたずむのは、写真から建築まで現代美術作家として世界に名をとどろかせる杉本博司だろうか。著者渾身こんしんのアート施設・江之浦えのうら測候所を巡る44話に酔いしれる。

 「死と再生を意識させる」冬至の朝にの光を通す70メートルのトンネルを作る。夏至にも百メートルのギャラリーに日の出が差し込む。神奈川県小田原市のこの場所では季節を測る。

 自作や茶室、神社に舞台、ニューヨークでの古美術商を経てかれるほど執着する石が並び、人類全体の歴史をも作家は始造する。そのたくらみは、幼き思い出の地・相模湾沿い斜面で見事にうつつとなる。

 「頃難コロナ」で人は死滅しても建築は廃墟はいきょとして残る。杉本のうそぶく声が聞こえるのは夢ではない。魅惑が人を食う。

 写真家に飽き足らず、よりうそっぽい演劇にかれた彼はそこでも評価を高める。自らの装丁と連歌の導く奇妙な話は、測候所と自身を浮きぼりにし、永遠未完の芝居としてまばゆい魔力を放つ。(岩波書店、2900円)評・鈴木洋仁

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1627101 0 書評 2020/11/15 05:00:00 2020/11/24 11:13:51 (c)Hiroshi Sugimoto https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201114-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail

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