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野本寛一著「採集民俗論」

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 農耕牧畜以前の人間社会は自然の恵みに生存の糧を頼る狩猟採集社会だったと言われている。昨年出た『生きもの民俗誌』とこの新刊『採集民俗論』は姉妹本である。前著は日本の動物民俗伝承を広範に渉猟した大著だったが、この新刊も長年にわたる植物民俗研究を集大成した大部の本だ。

 山野に自生する植物の果実やりん茎、塊根には有害成分が含まれていることがある。冒頭章の「トチ(栃)」の実=写真、本書より=にはサポニンなど食阻害物質があるため、採集後に時間と手間をかけてアク抜きする精緻せいちな技術が各地方で独立に編み出された。

 地域社会に伝わるこれらの“食の知恵”の中には、植物群落の遷移と保全をも配慮した不文律も含まれていた。農耕文化の広まりと現代社会の趨勢すうせいの中で消えゆこうとする狩猟採集文化の古層に迫る貴重な情報が本書には詰め込まれている。(昭和堂、7500円)評・三中信宏

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1713643 0 書評 2020/12/20 05:00:00 2020/12/28 10:56:11 野本寛一著『採集民俗論』(昭和堂)から https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201219-OYT8I50045-T.jpg?type=thumbnail

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