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絶滅危惧個人商店 井上理津子著

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評・南沢奈央(女優)

 近所には、前を通れば声を掛けるお店や、道ですれ違えば挨拶あいさつし合うような人がいる。人見知りのわたしが、しかも東京でこんな生活が出来るとは思わなかったが、それもこれも近所の個人商店での、店主や常連さんたちとの交流がきっかけだった。

 個人商店に行けば、その土地のことを知れる。本書はさらに踏み込んで、歴史をも遡る。精肉、豆腐、靴、文具、質屋、銭湯など、長年続く個人商店の数々を訪ね歩く。著者が店に出会ったきっかけから入店したときの感覚、取材しながらお店の人の懐に入っていく過程も記録される。著者の手応えや脱線した話題も含め、その取材の瞬間に生まれていたであろう空気を感じられ、人柄や生活が表れた店が浮かび上がってくる。

 共通するのはみな、採算や自分のことは二の次に、お客さんや家族を第一に働き、しかも楽しそうであるということ。まさに「気高い商い」。深く根を下ろし、確かな土壌がある。そこから周りに養分を与える、まるで大木のような個人商店。絶滅危惧と題されている本書の中には、生気がみなぎっていた。(筑摩書房、1500円)

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1824822 0 書評 2021/02/07 05:00:00 2021/02/15 14:21:54 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210212-OYT8I50059-T.jpg?type=thumbnail

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