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英語独習法 今井むつみ著

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「水面下」の知識がカギ

評・飯間浩明(国語辞典 編纂(へんさん) 者)

岩波新書 880円
岩波新書 880円

 「日本語にはなぜフワフワ、トロトロなど擬態語が多いんですか。英語には少ないのに」。そんな質問を受けることがあります。私はこれまで、不得要領に次のように答えていました。「英語では簡単な動詞で細かいニュアンスを表現できますが、日本語では難しい。代わりに、擬態語を使うんですよ」

 本書の説明はもっと明快です。つまり、日本語・英語の話者は構文のスキーマ(枠組みとなる知識)が違うのです。頼りなく歩く様子を、日本語ではフラフラ、ヨタヨタ、ヨロヨロなど擬態語で表現し分けます。一方、英語ではstagger, reel, lurchなど動詞で表現し分けます。文を作る発想が日英で違う。このことを知れば、英語の動詞をたくさん覚える必要性も分かります。

 著者は、認知科学の立場から、よくある英語学習法が合理的でないことを指摘します。たとえば、日本人がよく間違えるパターンを100覚えたとしても、それ以外に無数に起こる間違いは防げない。それよりも、表面に現れない英語スキーマを身につけるべきだと説きます。

 氷山の水面下の部分のような、見えない英語スキーマを身につける方法なんてあるのか。著者が多くの紙幅を割いて紹介するのが、コーパス(ネットで閲覧できる言語資料のデータベース)を使う方法です。

 たとえば、あるコーパスでlearn(学ぶ)とstudy(勉強する)をキーワードとして検索すると、前者はlesson(教訓)とよく結びつき、後者はart(芸術)とよく結びついています。コーパスに入っている例文を読んでいくうち、ふたつの語の違いが体感できるでしょう。

 実は私も、日本語の意味・用法を考えるため、自作の日本語コーパスで同じことをしています。特定のことばを含む例文を探索していると、そのことばについての理解が深まっていく感じがあります。本書で説く英語独習法は、日本語を含む他の言語にも応用できるわけです。

 ◇いまい・むつみ=慶応大教授。専攻は認知科学、言語心理学。著書に『ことばと思考』『学びとは何か』など。

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使い方
1891512 0 書評 2021/03/07 05:00:00 2021/03/15 16:55:34 英語独習法(26日、東京都千代田区で)=高橋美帆撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210306-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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