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ザ・空気 ver・3 永井愛著

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評・長田育恵(劇作家)

 忖度そんたく・同調の笑い・わきまえる。昨今のニュースで露見した言葉は、上層部や多数派の意向をうかがう密室内の空気を象徴している。「空気」という名の圧力は、メディアを管理下に置き世論を形成し、私たちを簡単に支配する。本作は、その「空気」に葛藤する人々を軽やかさと怖さを持って描く連作の完結作だ。

 報道番組を舞台に学術アカデミー任命拒否問題に関する秘密文書を放送するかギリギリの攻防が繰り広げられる。登場人物は文書を握る政治ジャーナリストと番組関係者ら五人のみ。台詞せりふから各々おのおのの背景や立場、人間性がヒシヒシと伝わってくる。物語は、選択の連続で進行していく。無意識下で働く咄嗟とっさの判断は、時には心の弱さを表すものでもある。五人の人物誰もに共鳴できるから、もし自分がその立場に置かれていたらと追体験せずにはいられない。

 そう、描き出されるのは、社会人として懸命に働き、一個人としての顔も持つ普通の人々の姿だ。彼らのあらがい、良心、矜持きょうじ、揺らぎ、そして挫折は私たち自身のものだ。「空気」をめぐる物語の続きは私たちに託されている。(而立書房、1500円)

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1942338 0 書評 2021/03/28 05:00:00 2021/04/05 10:21:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210401-OYT8I50005-T.jpg?type=thumbnail

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