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Neverland Diner 二度と行けないあの店で 都築響一編 ケンエレブックス 3300円

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百人百色 味わいの記憶

評・橋本倫史(ノンフィクションライター)

◇つづき・きょういち=1956年、東京都生まれ。作家、編集者、写真家。著書に『TOKYO STYLE』。
◇つづき・きょういち=1956年、東京都生まれ。作家、編集者、写真家。著書に『TOKYO STYLE』。

 新刊書店でよく立ち寄る棚に、グルメの棚がある。ここ最近だと、東京は人形町にある寿司すし屋の1年を追った中原一歩『「●寿司(きずし)」のすべて。』(プレジデント社)や、北海道の喫茶店を探訪した酒井康行『喫茶とインテリア2 NORTH』(大福書林)など、印象深い本と出会ってきた。(●は七が三つ)

 そんなグルメの棚で、ある日、辞書のような厚さの本が平積みされていた。「二度と行けないあの店」をテーマに、100人がつづったエッセイをまとめたアンソロジーである。都築響一のメールマガジン「ROADSIDERS’weekly」で連載され、ケンエレブックスという、創業されたばかりの出版社から書籍化された。

 綴られるのは、店の記憶だ。

 わたしたちは、味に対する評価を数値化し、店を判別することに慣れつつある。しかし、本書を読むにつけ、それとは別の基準が浮かび上がってくる。味わいというものは、その日の気分や、店主の人柄、そこに通った記憶など、さまざまな要素によって醸し出されるものだ。

 「麻衣よ、美味おいしいもんていうとはね、お金さえあったら食べられるとよ。ばってん本当にうまかもんていうとは、そういうもんやないと。あんたにはまだわからんかね」。歌手・ミュージシャンの見汐麻衣によるエッセイ「山口お好み屋」に綴られる、母の言葉がみる。

 それにしても、日本は豊かだったのだなあと思う。特別な料理を提供するぴかぴかした店だけでなく、町にあるごくふつうの食堂や、路地の暗がりにある店のことも愛する人たちがいた時代というのは、なんと豊かだったのだろう。

 本書に収録されたエッセイは、肩書きも文体も十人十色、いや百人百色だ。店主とどっぷりディープに付き合った記憶もあれば、何年も通いながらも黙って静かに過ごしていた記憶も綴られる。ぱらぱらとページを繰り、ふと目に留まった箇所を読み返しながら、わたしはどんなふうに店と付き合っているだろうかと顧みる。

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1942352 0 書評 2021/03/28 05:00:00 2021/04/05 10:20:43 Neverland Diner 二度と行けないあの店で=泉祥平撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210327-OYT8I50053-T.jpg?type=thumbnail

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