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約束の地 大統領回顧録 I上・下 バラク・オバマ著 集英社 各2200円

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◇Barack Obama=第44代米国大統領(2009~17年)。「核なき世界」を訴え、2009年にノーベル平和賞受賞。
◇Barack Obama=第44代米国大統領(2009~17年)。「核なき世界」を訴え、2009年にノーベル平和賞受賞。

1期目 詳細に正直に

評・国分良成(国際政治学者・前防衛大学校長)

 本書は、オバマ大統領がさまざまな重要決定に臨む場面や朝の内外情勢ブリーフから夜寝るまでの日常生活が、事細かにそして正直に語られている。ブームばかりが先行した最初の大統領選挙、自らの経験と実力が追いつかない焦りについても素直に吐露している。「核なき世界」でノーベル平和賞を受賞したにもかかわらず、それが早すぎたことも認めている。

 本書は回顧録だが、リーダーシップ論としても好著だ。何事も最後の決断と責任はリーダーに帰するが、それを支えるチームとメンバー間の信頼がないと組織は機能しない。オバマの人物観察は鋭く、側近から執事まで各人の個性と役割を丁寧に描いている。リーダーには心を癒やす家族の存在も重要で、ミシェル夫人と二人の娘との触れ合いがちりばめられている。

 オバマの原点はどこにあるのか。母は白人で、父はケニア出身だが子供の時に別れ印象は薄い。結局、母方の優しい祖父母のもとで育てられ、白人の環境で育った黒人なのだ。その間に味わった黒人としての屈辱感がしばしば見え隠れする。アメリカ社会の分断状況はオバマ時代にすでに顕在化しており、彼はその融合に挑戦したがかえって分断は拡大し、トランプという特異な大統領を生み出した。

 本書の8~9割は国内問題で、外交問題の言及はわずかだ。リーマン・ショックの中でスタートしたオバマ政権は経済復興を最優先し、同時に無保険者をなくす目的のオバマケアとして知られる医療保険制度を導入した。それらの政策過程における党派や議会での利害の衝突、メディアや利益団体との駆け引きなど、まさにアメリカ民主政治の真骨頂が再現されている。

 本書では大統領の第1期目までが描かれ、第2期目以降は今後出版の予定だ。国際問題は中東、ロシアなどが中心で、対中脅威感はまだ薄い。大統領主導で計画されたビン・ラディン殺害で本編は終わる。山田文、三宅康雄ほか訳。

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1959576 0 書評 2021/04/04 05:00:00 2021/04/12 16:38:36 約束の地 大統領回顧録I上・下=泉祥平撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210403-OYT8I50043-T.jpg?type=thumbnail

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