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WHAT IS LIFE? 生命とは何か ポール・ナース著 ダイヤモンド社 1870円

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細胞分裂がつなぐ絆

評・小川さやか(文化人類学者・立命館大教授)

◇Paul Nurse=1949年、英国生まれ。遺伝学者、細胞生物学者。2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞。 
◇Paul Nurse=1949年、英国生まれ。遺伝学者、細胞生物学者。2001年にノーベル生理学・医学賞を受賞。 

 細菌、酵母、マウンテンゴリラ、ひらひらと飛ぶちょうまで、「われわれは、みな、生存競争を生き抜いた偉大な同志だ。細胞分裂という途切れのない鎖を遡り、最古の果てへとつながる、計り知れないほど広大な、たった一つの家系の子孫たちなのだ」。著者はそう述べる。そして、その深い絆を理解し、その意味に思いをせることのできる、唯一の生命体である人間は、地球上の生命に対して特別な責任を負っていると。

 本書は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した細胞生物学者がはじめて書いた一般向けの科学書である。私のような文系人間も魅了する、生物学・遺伝学への招待状であり、〈1〉細胞〈2〉遺伝子〈3〉自然淘汰とうたによる進化〈4〉化学としての生命〈5〉情報としての生命という生物学の五つの重要な考え方を段階的に説明していくことで、「生命とは何か」という根源的な問いを解き明かす。あらゆる生命はたった一つの細胞から出現し、分裂しながら成長する。遺伝子を複製させて命をつなぎ、自然淘汰を通じて多様な形へと進化する。境界をもつ物理的な存在である生命体は細胞レベルで外部の環境と複雑なコミュニケーションをとっている。生命は自らの代謝を生み出し、自ら維持・成長させ、再生する化学的な物体であり、細胞・組織・器官レベルで複雑な情報をやり取りする精巧な機械でもある。

 大学の学長に就任する際に出生証明書の完全版を請求し、じつは両親が祖父母で、姉が母親だったと気づいたり、無神論者になったり、フランス語の試験に6回も落ちて大学に行くまで回り道したり、重度の心臓疾患にかかって緊急手術を受けたり……波乱万丈な人生の局面でも著者は「生命とは何か」という問いを投げかけ、研究に邁進まいしんした。その問いに科学的な解を与えることが、パンデミックや病に打ち勝つだけでなく、この世界を変えるために必要なのだという強い信念のもとで。科学を軽視する社会への警鐘が重く響く。竹内薫訳。

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2025321 0 書評 2021/05/02 05:00:00 2021/05/11 11:59:39 WHAT IS LIFE?生命とは何か(16日、東京都千代田区で)=飯島啓太撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210501-OYT8I50055-T.jpg?type=thumbnail

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