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階層樹海 椎名誠著

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評・稲野和利(ふるさと財団理事長)

 1990年に立て続けに出版された『アド・バード』『水域』『武装島田倉庫』は、椎名誠SF三部作と称される。何らかの破局に見舞われた後の近未来の世界が描かれているのが共通点だが、本書もその系譜にあると言える。

 舞台はある惑星。過去の大変動を生き延びた上下幾つもの階層をなす樹海が存在し、そこに生命効率のために驚くべき体の縮小進化をとげた新人類や鳥類・昆虫類・動物・植物・魚類が共生する。主人公のスオウは冒険心に富む12歳。ある時、謎の飛翔ひしょう体に乗って樹海の外から来た男アインシュタインに危機を救われ、最下層に向かう。スオウは半ば人為的な階層樹海の成り立ちを知るが、水流システムの綻びから階層樹海崩壊の危機が迫り、やがて大異変が起きる。

 階層樹海に生息する動植物の生態やその名前がユニークだ。その数、ざっと数えても130余り。森林刺生子トゲナマコ混入錯綜蔦こんにゅうさくそうづた、火炎樹、混交滑騙こんこうぬめりだまし兜丸かぶとまる……。何とも驚くべき想像力と創造力、それに言語感覚。特に、食虫・食鳥・吸血・飲用など多種多様な植物の存在感は圧倒的で主役級だ。これぞシーナ・ワールド。挿絵が楽しい。中高生にもオススメの1冊。(文芸春秋、1760円)

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2025325 0 書評 2021/05/02 05:00:00 2021/05/11 12:00:16 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210511-OYT8I50016-T.jpg?type=thumbnail

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