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ミャンマー政変 クーデターの深層を探る 北川成史著 ちくま新書 924円

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軍の独善、困難な協調

評・飯間浩明(国語辞典 編纂へんさん 者)

◇きたがわ・しげふみ=1970年生まれ。2017年から3年間、東京新聞・中日新聞バンコク支局特派員を務めた
◇きたがわ・しげふみ=1970年生まれ。2017年から3年間、東京新聞・中日新聞バンコク支局特派員を務めた

 民主化された国は、もれなく発展が約束されている。私はそう無邪気に思っていました。ところが、世界各地で民主主義がいとも簡単に崩れ去る事態が相次ぎ、衝撃を受けました。

 民主化が進んでいたはずのミャンマーで、国軍によるクーデターが起こり、多くの国民が犠牲になっています。どうしてこんな事態に至ったのか、どうすれば解決に近づくのか、それを考えたくて本書を手に取りました。

 著者は新聞社の特派員として、政変の直前までミャンマー各地を取材していました。現地の人々の証言を多く含むリアルな報告から見えてくるのは、国内の多くの民族が協調することの困難さと、国軍の独善的な意識です。

 何十万人もが難民として国外に流出しているロヒンギャは、他の民族から異教徒として排除されています。ヤンゴン市内のビルマ人は「彼らは自分たちより肌が黒い。ミャンマー人ではない」と、あっけらかんと述べます。

 キリスト教徒の多い少数民族のカレン人は、数万人が難民としてタイ側の国境地帯に集まっています。国際機関などからの援助は次第に削減され、非公式に運営されている高校や短大も存続の危機に立つといいます。

 国内の複雑な民族問題を、国軍は銃で抑えこんできました。国軍の意識を、ある外交官は「 傲慢ごうまん 」「自己陶酔」と指摘します。その意識の行き着いたところがクーデターでした。国軍には国民の命を守る意識がありません。

 私は以前この欄で、ロヒンギャ危機に関し、日本がミャンマー国軍などの改革に関与する提案について紹介しました。でも、クーデター後に犠牲者が増えている現状では、日本が国軍に関与することは困難になったと思います。

 解決策を考えるのは私の手に余りますが、本書の終章にはいくつかのヒントがあります。日本はもはや曖昧な態度を続けていられないという著者の危機意識を、私も深く共有します。

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2359673 0 書評 2021/09/12 05:00:00 2021/09/21 10:26:21 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210917-OYT8I50085-T.jpg?type=thumbnail

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