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『ベドジフ・フォイエルシュタインと日本 BEDŘICH FEUERSTEIN』ヘレナ・チャプコヴァー著(成文社) 4400円

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チェコの才人 作品と生涯

評・柴崎友香(作家)

◇Helena Čapková=チェコ出身。立命館大准教授。ジャポニスムやモダニズム、20世紀建築を専門に論考を発表。
◇Helena Čapková=チェコ出身。立命館大准教授。ジャポニスムやモダニズム、20世紀建築を専門に論考を発表。

 チェコの建築家・美術家ベドジフ・フォイエルシュタインの作品と生涯をたどる本書。カレル・チャペックの舞台美術を手がけるなど多才で、1920年代に日本に滞在し聖路加国際病院の設計にも携わった彼の足跡を追うことで、周辺の人々との交流やジャポニスムとモダニズムの関わりを ひも 解いていく。

 2度の大戦前後に国が変わるなどしたこともあり大きな潮流からはこぼれがちな中欧諸国の建築家や文化について、資料や書簡を検証し、モザイクを埋めるように彼らの姿や功績を浮かび上がらせる。聖路加国際病院の建設にも中欧出身の人々が多く関わっていた。フォイエルシュタインはアメリカや北京で病院の設備や設計を学んで生かそうとしたが、関東大震災や資金面での困難から計画は変更されていった。彼が関わった他の建物についても、完成した姿やメインの設計者の名前だけが残るかもしれないが、過程を丹念に調べ多角的に要素や影響を考察することで見えてくるものがある。デザイン画や写真が豊富に掲載されているので、形やイメージがとらえやすい。夫と共にフランク・ロイド・ライトに師事した土浦信子の「モガ」な で立ちの写真などを見ていると、およそ100年前の日本社会や文化に想像が広がる。大戦間の日本が西洋を信奉しつつ周辺諸国に対して「オリエントのオリエンタリズム」を形成しており、その状況とフォイエルシュタインの日本観との考察も興味深かった。

 同じくチェコ出身で雇い主だった建築家レーモンドとの確執により来日から4年で帰国を余儀なくされた彼は、舞台美術では活躍したものの建築では成功することなく44年で生涯を閉じた。しかし、その軌跡は後世の文化につながっている。

 コロナ禍で往来が難しくなった今読むと、国や距離を越えて交流することの重要性がいっそう実感される。外国で学んだり人が行き交ったりすることで、異なる文化が出会う。互いに影響し合って紡ぎ出される芸術や技術、その土地の風土や生活様式を体験することから生まれてくる発想の豊かさを思った。阿部賢一訳。

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使い方
2457603 0 書評 2021/10/22 05:20:00 2021/10/20 17:02:54 ベドジフ・フォイエルシュタインと日本(30日午後3時40分、東京都千代田区で)=木田諒一朗撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211018-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

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