メモ入力
-最大400文字まで
完了しました
評・宮部みゆき(作家)

墓じまい、「改葬」はお墓の引っ越しだ。遠く離れた故郷のお墓を、親族が暮らす土地に移す。墓参りする人がいなくなるお墓の遺骨を、永代供養の納骨堂に移す。そこに眠る死者にとっても、墓守する生者にとっても、けっして悪い話ではないし罪なことでもない。
なのに、墓じまいにはなぜか
本書は日本人の心性の歴史をひもときつつ、そんな思い込みの呪縛を解いてくれる。タイトルが「墓じまいの手引き」ではなく、「荷を下ろす」である意味が深い。お墓を「荷」だと感じるのは、おろそかに思っていないからこそなのだ。