『文豪と印影』西川清史著(左右社) 2420円

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評・鵜飼哲夫(読売新聞編集委員)

右上から時計回りに太宰治、谷崎潤一郎、司馬遼太郎、稲垣足穂(いずれも本書より)
右上から時計回りに太宰治、谷崎潤一郎、司馬遼太郎、稲垣足穂(いずれも本書より)

 昭和40年代頃まで、著者名や出版社などを記した本の奥付には著者のハンコが されていた。発行部数に見合った印税(著作権使用料)を著者に支払うためだ。作者は一冊一冊に検印しながら収入を計算した。

『ピノ:PINO』村上たかし著(双葉社) 1210円

 無頼派の作家、太宰治の場合、検印は妻、美知子の仕事。『斜陽』などで戦後、流行作家になると作業はひと苦労。しかも収入は、太宰が闇で購入する酒代、 煙草たばこ 代に消えたと『回想の太宰治』に書いている。

 本書は、作家の印影セレクション。 耽美たんび 派、谷崎潤一郎の『 陰翳礼讃いんえいらいさん 』の印はこれぞ芸術品であり、『少年愛の美学』の鬼才、稲垣足穂は 奇天烈きてれつ 、『竜馬がゆく』の司馬遼太郎は時代を駆け抜ける作風そのままだ。

 これに対し、「おしゃれ童子」の作もあり、自意識がいっぱいの太宰は三文判ではないか!? 文は人なり。印影は、必ずしも人ならず。

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2685269 0 書評 2022/01/21 05:20:00 2022/01/19 14:09:31 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220117-OYT8I50061-T.jpg?type=thumbnail

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