『室町社会史論』清水克行著(岩波書店) 6490円

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評・苅部直(政治学者・東京大教授)

 一九八〇年代の社会史ブームが、日本中世史の研究を大きく活性化させたことは、よく知られている。だがその動向は時として、中世人の行動の非合理性をやたらに強調したり、 些末さまつ な事例を紹介するだけで研究をすませるような傾向を生んでしまった。

『聖徒の革命 急進的政治の起源 THE REVOLUTION OF THE SAINTS』マイケル・ウォルツァー著(風行社) 8250円

 本書で清水克行が唱えるのは、社会史研究が解明を進めた、中世の法秩序に関する知見を、より広く、当時の社会に 滲透しんとう していた「習俗」の問題へと切り開くことである。それによって、中世社会から近世への移行を、多くの角度から語り直している。

 この本の副題は「中世的世界の自律性」。室町時代には、大名の地域権力から、村や町、商人・職人の集団に至るまで、それぞれの集団が独自のルールを備えていた。近代とは異なる多元的な社会だったのである。

 だがその中でも、くじ引きの結果を神意とみなすような思考からの脱却がしだいに進み、「室町殿」の公権力も独自の調整機能を社会に発揮するようになってゆく。ミクロな村の紛争から大名「国家」の権力の機能に至るまで、時代の全体像が鮮やかに見えてくる。

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2685249 0 書評 2022/01/21 05:20:00 2022/01/21 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/01/20220117-OYT8I50070-T.jpg?type=thumbnail

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