『おんなの女房』蝉谷めぐ実著(KADOKAWA) 1815円

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評・梅内美華子(歌人)

 本作の舞台は江戸も終わりに近い文政年間、武士が形骸化し町人が元気旺盛な時代。歌舞伎を知らない武家の娘・志乃が女形の役者喜多村燕弥に嫁ぎ、戸惑い、悩み、奮闘しながら自分を見つけてゆく。

『女子大で和歌をよむ うたを自由によむ方法』木村朗子著(青土社) 2640円

 仕草も心構えも自分より女らしく美しい夫。芝居と地続きの倒錯した暮らしに入りこむと志乃には「女」という問いが待っていた。歌舞伎の女形は理想の女性美を芸の上で追求し作り上げられたもので、これも「女」に問いかける存在だ。

 日常も女として振る舞う夫のねちっとした嫌みに鍛えられ、役者仲間の妻や町人に まれて、役者の妻としての自覚を持ち始める志乃。それはがんじがらめの武家社会を突き放して笑い、女形の限界を恐れる夫を包み込むものとなる。

 時姫、雪姫、八重垣姫の「赤姫」に清姫を加えた物語に志乃と燕弥の成長が重ねられている。歌舞伎の世界を楽しめるとともに、姫たちの 一途いちず さは若い二人にぴったりに映る。

 はきはきとしてテンポの良い語り口が江戸の世に引き込む。それが物語の明るさ、爽やかさともなっている。

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3009057 0 書評 2022/05/20 05:20:00 2022/05/20 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220517-OYT8I50000-T.jpg?type=thumbnail

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