新☆再生縁~明王朝宮廷物語~〈1〉~〈11〉 滝口琳々著…プリンセス・コミックス 〈11〉454円/天空の玉座〈1〉~〈11〉 青木朋著…ボニータ・コミックス 〈11〉454円

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緻密な中国史絵巻…評・加藤徹(中国文化学者 明治大教授)

◇たきぐち・りんりん=1996年、別名義による「双華虚夢」でデビュー◇あおき・とも=94年、「意中の人」でデビュー。
◇たきぐち・りんりん=1996年、別名義による「双華虚夢」でデビュー◇あおき・とも=94年、「意中の人」でデビュー。

 平成は、ハイカルチャーとサブカルチャーが逆転した時代だ。現役の首相が五輪の閉会式でゲームのキャラにふんして土管の中から跳び出し、NHKが残虐シーンのある深夜アニメを放送する。昭和時代には想像できなかった。

 最近完結した、中国の宮廷を舞台とする二つの歴史コミックスも、文学や映画を超えている。

 『新☆再生縁』は、原作担当の姉と作画担当の妹の共作だ。才色兼備のヒロイン・孟麗君もうれいくんは、ゆえあって自分の性別を偽り、男装して超難関の科挙の試験に合格。官僚となる。彼女は正体を隠したまま、退廃的な宮廷で、仲間とともに巨悪の陰謀に立ち向かう。

 タイトルに「新」とある理由は、中国清代の古典小説『再生縁』をふまえ、大胆なアレンジを加えたからだ。滝口琳々りんりん氏は原典をリスペクトしつつ、物語の舞台を明の成化帝の宮廷に変更し、史実の人物と架空の人物がからむ新しい歴史サスペンスを作った。清代の『再生縁』の原作者と補作者も女性だった。時代を超えた才女の壮大な合作ともいえる。

 『天空の玉座』は、架空の「徳王朝」を舞台とする歴史活劇だ。ヒロインは元気いっぱいの少女・珊瑚さんご。珊瑚の兄の美形の宦官かんがん、絶大な権力をふるう美魔女的な皇太后、傀儡かいらいの若き皇帝といたいけなきさき、圧政に苦しむ庶民、個性的な「少数民族」など、魅力的なキャラがからみあい、ドラマチックな歴史絵巻を展開する。登場人物は架空だが、前漢の宣帝や清末の西太后など歴史に実在した人物や事件の数々をモデルとしており、リアルで重厚である。

 青木とも氏も滝口氏も、衣装や風景は史実の資料を参考にして緻密ちみつな絵で描く。人物の表情は、良い意味で漫画的に描く。このギャップはコミックスの醍醐だいご味だ。底知れぬ悪意と権謀術数。心温まる善意とユーモア。まさかのどんでん返しの連続。ページをめくる手が止まらない。

447372 1 コミック 2019/02/17 05:00:00 2019/02/25 15:02:44 2019/02/25 15:02:44 通常の書影の代わりにこれを使ってください。 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190216-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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