[カンヌ映画祭報告]韓国パワーをひしひしと実感…青空に旧市街、まるで映画のワンシーン

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 第75回カンヌ国際映画祭がきょう17日、開幕です。コロナ禍で通常の形での開催を断念した2020年、2か月遅れで開かれた昨年を経て、本来の5月開催に戻ります。現地入りした記者が、祭典に沸く南仏カンヌの様子をお伝えします。(文化部 松田拓也、写真も)

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メイン会場に掲げられた今年の公式ポスター。南仏の青空に、見事に映えています
メイン会場に掲げられた今年の公式ポスター。南仏の青空に、見事に映えています

陽光のもとごった返す関係者・観光客

 記者が現地入りしたのは15日昼。街中は映画祭の関係者や観光客でごった返していました。強い陽光が照りつけ、港には無数のボートやヨットが停泊し、各国から集った老若男女が練り歩く。さらに主に街の西側の高台には中世の香りを色濃く残す旧市街が広がるカンヌは、どこを切り取っても映画のワンシーンのようです。

 メイン会場となる巨大な会議場、パレ・デ・フェスティバルでは、開幕に向け、着々と準備が進んでいました。ジム・キャリーさん主演の映画「トゥルーマン・ショー」(1998年)のワンシーンを引用したポスターが掲示され、カンヌの鮮やかな青空にとけ込むようで気分を高めてくれます。

韓国映画のパワーひしひしと

 歩を進めると、是枝裕和監督の韓国映画「ベイビー・ブローカー」の大きな看板が目に飛び込んできました。メイン会場の近くの高級ホテル、マジェスティックの前に、韓国のパク・チャヌク監督「DECISION TO LEAVE」(英題)と並んで設置されています。素晴らしい立地で、韓国映画のパワーをひしひしと実感しました。

 両作品ともに、今回は21作品が最高賞パルム・ドールを競うコンペティション部門に出品されています。

是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」の広告看板。とても目立つ立地に掲示されていました(15日)
是枝裕和監督の「ベイビー・ブローカー」の広告看板。とても目立つ立地に掲示されていました(15日)

 「ベイビー・ブローカー」は近年、海外との共同制作に取り組んでいる是枝監督が、韓国を代表する俳優やスタッフとタッグを組んだ作品です。「パラサイト 半地下の家族」のソン・ガンホさんが、クリーニング店を営む一方、実は「赤ちゃんポスト」に預けられた赤ん坊を連れ去り、子供が欲しいと言う家庭に売る「ブローカー」を裏の稼業とする主人公サンヒョンを演じています。とある赤ん坊との出会いをきっかけに養父母探しの旅に出るサンヒョンと、カン・ドンウォンさん演じる相棒、赤ん坊の母(イ・ジウンさん)、彼らを追う刑事たちの旅路を描く物語です。是枝監督が見つめてきた「家族」を、また違った視点で捉えた作品で、是枝監督にとっては「万引き家族」以来、4年ぶり2度目の最高賞受賞となるでしょうか。公式上映は会期最終盤の26日です。

「カメ止め」のあの方も現地入り

 そして、きょう17日の開幕式でオープニングを飾るのが「キャメラを止めるな!」。コンペの対象外ですが、題名からお察しの通り、上田慎一郎監督のヒット作「カメラを止めるな!」(2017年)をリメイクした作品です。手がけたのは、「アーティスト」でアカデミー賞の5部門を受賞したフランスのミシェル・アザナヴィシウス監督。オリジナル版で現場を混乱させるプロデューサーを演じた竹原芳子さんが出演していることでも話題です。竹原さんは現地入りしており、レッドカーペッドでどんな姿を見せてくれるでしょうか。作品としては日仏の文化の違いをどう取り込み、いかに笑いをかっさらうのか。会場の反応にも注目したいと思います。

記者会見した映画祭のティエリー・フレモー総代表。力強く開幕への意気込みを語っていました(16日)
記者会見した映画祭のティエリー・フレモー総代表。力強く開幕への意気込みを語っていました(16日)

 コンペに次ぐもう一つの主要部門「ある視点」には、倍賞千恵子さん主演の「PLAN 75」が選ばれています。75歳以上が自ら生死を選べる制度「プラン75」が施行された日本を描く作品です。早川千絵監督にとっての初めての長編作品で、これだけでも大きな快挙です。高齢化がさらに進んでいく中で、決して絵空事とは思えない題材を扱っており、注目を集めること間違いなしです。

 先鋭的な9作品を紹介する「ACID部門」には、岡山県で農業に携わりながら映画制作を続ける山崎樹一郎監督の「やまぶき」が選出。30年の歴史を持つ部門で、日本映画として初出品されます。さらに映画史の重要作品を紹介するクラシック部門では、河瀬直美さんが総監督を務めた東京五輪の公式記録映画「東京2020オリンピック SIDE:A」が25日にお披露目され、市川崑監督が参加したミュンヘン五輪の公式記録映画「時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日」(1973年)も上映されます。

世界の映画界の「今」追いたい

 このほか、ウクライナ情勢を受けた動向も見逃せません。16日に記者会見した映画祭のティエリー・フレモー総代表は「ウクライナの人々に絶対的かつ交渉の余地のない支援」に加え、「抵抗するリスクを冒すロシア人に手を貸したい」との意向を表明しました。今年は、反体制的な芸術家として知られるロシアのキリル・セレブレンニコフ監督の新作がコンペに選ばれ、ウクライナ出身のセルゲイ・ロズニツァ監督の作品も上映される予定です。日本に関連する作品への反響と共に、世界の映画界の「今」を追っていきたいと思います。

 ◆カンヌ国際映画祭は28日まで。会期中、現地で取材中の松田拓也記者の報告を随時掲載します。

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3007332 0 映画 2022/05/17 18:00:00 2022/05/17 18:13:45 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220517-OYT1I50092-T.jpg?type=thumbnail

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