名場面ベスト3、鮮烈な勝負手…羽生竜王、渡辺棋王の対局上位選

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 羽生善治竜王に広瀬章人八段が挑戦する第31期竜王戦七番勝負が10月11、12日、セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)で開幕する。将棋界の最高棋戦。過去30年の七番勝負では様々な名勝負が繰り広げられてきたが、その「名場面」ベスト3を藤井聡太七段、糸谷哲郎八段、森下卓九段に選んでもらった。(文化部 吉田祐也)

 

昨年の第30期竜王戦第4局では、羽生竜王(右)が渡辺棋王を破って「永世竜王」「永世七冠」に王手をかけた
昨年の第30期竜王戦第4局では、羽生竜王(右)が渡辺棋王を破って「永世竜王」「永世七冠」に王手をかけた

 「ベスト3」を選んでもらった3人の棋士。16歳の藤井七段は、今勢いのある若手の代表だ。糸谷八段は竜王位に就いたこともある中堅の強豪で、森下九段は、「無冠の帝王」といわれたベテラン。世代の違う3人が選んだ「名場面」は、すべて違う対局になった。

 藤井七段が1位に選出したのは、1990年の第3期竜王戦第4局で羽生竜王が最終盤に放った「▲2二角」の場面。2002年生まれの藤井七段が、生まれる前の将棋だ。角をタダで捨て、谷川浩司九段の玉を寄せた絶妙手で「この手に費やした5分は、棋士として最も濃密な時間だった」と羽生竜王は振り返る。

 「澄みきった境地」を意味する「玲瓏れいろう」は羽生竜王の座右の銘である。この▲2二角は、若き日の羽生竜王がみせた「玲瓏の原点」とも言える一手なのだ。

 2位は記憶に新しい昨年の第30期竜王戦第4局。羽生竜王が芸術的な寄せを決め、「永世竜王」「永世七冠」を達成したシリーズの中でも「白眉の一局」だった。3位は渡辺明棋王―丸山忠久九段の第24期竜王戦第4局で、「角換わりシリーズ」の流れを決定づけた将棋だ。

 糸谷八段が1位に選んだ第9期竜王戦第2局、谷川九段の△7七桂は「光速流」の神髄として語り継がれている。谷川九段といえば、終盤の鋭い寄せが持ち味。「光速流」はその棋風を一言で表した名キャッチフレーズである。

 この桂打ちも将棋ファンの間では、あまりにも有名な一手だ。昨年の第30期竜王戦第2局で羽生竜王が渡辺棋王相手に△7七桂打と打った際、「谷川の△7七桂の再来だ」と控室が興奮に包まれたほど。2位は、森内俊之九段が受けの強さを発揮して渡辺棋王の10連覇を阻んだ第26期竜王戦第1局だ。

 3位は渡辺棋王―羽生竜王の第21期竜王戦第1局。このシリーズは、4連覇中の渡辺棋王と竜王6期獲得の羽生竜王、どちらが「初代永世竜王」になるかを懸けた、将棋史に残る名勝負だった。

 「芸術の都」パリで行われた第1局を制した羽生竜王だったが、将棋界初の3連敗4連勝で、渡辺棋王が「永世竜王」の資格を勝ち取った。森下九段も、大熱戦だったこのシリーズの決着局、第7局を3位にしている。

 その森下九段の1位は、第1期竜王戦第1局。七番勝負の歴史のスタートとなった対局である。島朗九段の▲5四銀成は、それほど知られた一手ではないが、「初代竜王」をたぐり寄せた攻防手だ。2位は1990年代のライバル対決・羽生竜王―佐藤康光九段の第6期竜王戦第4局。両者の強情な斬り合いに若さがほとばしるようだ。

 9局を鳥瞰ちょうかんすると、羽生竜王が絡む対局が6局、渡辺棋王が5局。2人の登場回数が抜きんでている。「竜王戦七番勝負で、羽生先生と渡辺先生は、常に名勝負を繰り広げている印象です」と藤井七段は話した。

 開催日程・対局場一覧 第31期竜王戦七番勝負の開催日程・対局場は次の通り。

▽第1局(10月11、12日)

 セルリアンタワー能楽堂(東京都渋谷区)

▽第2局(10月23、24日)

 宮地嶽神社(福岡県福津市)

▽第3局(11月1、2日)

 鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)

▽第4局(11月24、25日)

 福知山城(京都府福知山市)

▽第5局(12月4、5日)

 和倉温泉 加賀屋(石川県七尾市)

▽第6局(12月12、13日)

 指宿白水館(鹿児島県指宿市)

▽第7局(12月20、21日)

 春帆楼(山口県下関市)

 

竜王戦名場面ランクイン数
1 羽生善治6局
2 渡辺 明5局
3 谷川浩司2局
4  森内俊之
佐藤康光
島 朗 
丸山忠久
米長邦雄
1局

 

◆藤井聡太七段が選ぶ名場面ベスト3

1位 第3期第4局  羽生善治-谷川浩司

2位 第30期第4局 渡辺明-羽生善治 

3位 第24期第4局 渡辺明-丸山忠久 

 

◆糸谷哲郎八段が選ぶ名場面ベスト3

1位 第9期第2局  羽生善治-谷川浩司

2位 第26期第1局 渡辺明-森内俊之 

3位 第21期第1局 渡辺明-羽生善治 

 

◆森下卓九段が選ぶ名場面ベスト3

1位 第1期第1局  米長邦雄-島朗  

2位 第6期第4局  羽生善治-佐藤康光

3位 第21期第7局 渡辺明-羽生善治

(表内はすべて敬称略)

 

 

 

主催=読売新聞社、日本将棋連盟

特別協賛=野村ホールディングス

協賛=東急グループ、明治

(9月28日付け朝刊より)

42951 0 竜王戦 2018/10/01 04:00:00 2018/10/01 04:00:00 2018/10/01 04:00:00 昨年の第30期竜王戦第4局では、羽生竜王(右)が渡辺棋王を破って「永世竜王」「永世七冠」に王手をかけた https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180928-OYT8I50051-T.jpg?type=thumbnail

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