国際コンクール優勝の若手を次々と輩出、「サントリーホール室内楽アカデミー」の指導術

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 次世代を担う室内楽奏者の支援をめざして2010年に開講した「サントリーホール室内楽アカデミー」。近年、優れた若手演奏家を立て続けに輩出している、その指導現場を訪ね、熱意と努力によって音楽が育まれていく過程を取材した。(文化部 松本良一)

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ピアノ三重奏「葵トリオ」も学ぶ

 アカデミーは、音楽大学であまり重視されてこなかった室内楽の分野で若手を発掘しようと開講した。ここで学んだピアノ三重奏の「葵トリオ」(2018年、ミュンヘン国際音楽コンクール優勝)や、弦楽四重奏の「クァルテット・インテグラ」(21年、バルトーク国際コンクール優勝)の活躍は記憶に新しい。サントリーホール館長の堤剛(チェロ)を始め、日本を代表する演奏家ら複数の講師による密度の濃い指導が、実績に結びついている。

アカデミー生の選抜演奏会で講師(手前)からアドバイスを受けるレグルス・クァルテット(4月6日、赤坂区民センターで)=サントリーホール提供
アカデミー生の選抜演奏会で講師(手前)からアドバイスを受けるレグルス・クァルテット(4月6日、赤坂区民センターで)=サントリーホール提供

 公募制で1期2年。第6期(20年9月~)には、弦楽四重奏6団体とピアノ三重奏1団体が参加し、月1回のレッスンを重ねてきた。4月、都内で開かれた演奏会形式のワークショップで、レグルス・クァルテットを取材した。吉江美桜(バイオリン)、東條太河(同)、山本周(ビオラ)、矢部優典(チェロ)という、20代の新進の奏者たちだ。

 ベートーベンの弦楽四重奏曲第15番の演奏は綿密な構成と気迫・情感にあふれていた。だが、講師陣からは注文が相次ぐ。「楽譜に書かれた細かいアクセント記号を見逃さないで」「この前打音はもう少し明確に」「あそこはもっと歌った方がいいな」――。

 アカデミーは音楽大卒業生らが、プロへの一歩を踏み出すための更なる精進の場。若者たちが絆を深め、ベテランの助言を得て独り立ちしていく。室内楽は個々人の技量や感性だけでなく、音楽上の目的の共有と調和の取れた表現が求められる。吉江は「一流の先生方から様々な意見をもらうことで、新しい発見が生まれる。4人が一つになった時に出る音は、何物にも代えがたい魅力がある」と話す。

「芸術の神髄を会得してほしい」

 講師には、国際的に活躍した「東京クヮルテット」の元メンバーも。原田幸一郎(バイオリン)は「聴くたびに成長している」、池田菊衛(同)も「彼ら独自のスタイルが確立されてきた」と話し、それぞれ並々ならぬ期待がうかがえた。アカデミーの意義などについて、講師の練木繁夫(ピアノ)は「若者の演奏に接するのは自分にとっても勉強になる」、毛利伯郎(チェロ)は「室内楽はワインやチーズのように時間をかけて熟成する芸術。その神髄を会得してほしい」と語る。

 今期参加者による演奏会「チェンバーミュージック・ガーデン」は11、18日の午前11時から、サントリーホール・ブルーローズで開かれる。(電)0570・55・0017。

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