戦前・戦後の名盤を集めた「SPレコードコンサート」…与謝野晶子らの朗読披露も

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 音楽史家・毛利眞人さん(以下同)の解説で、戦前・戦後の名盤を蓄音機や電気蓄音機で聴く「SPレコードコンサート」が6月24日、東京・大手町の読売新聞ビルで開かれた。貴重なSPレコードなどを展示している「明治・大正・昭和 レコードと暮らし」展の関連企画。ロック、ジャズ、シャンソンなど多彩な音楽ジャンルから、文人による朗読レコードまで聴かせた充実のプログラムだった。

【SP盤の流儀4】語義通りになったレコード、いまや歴史史料に

SPレコードの魅力を語る毛利さん
SPレコードの魅力を語る毛利さん

 毛利さんは、「レコードと暮らし」展をプロデュースする保利透さん(以下同)(ぐらもくらぶ主宰)の長年の盟友で、今年5月に出版した著書「SPレコード入門――基礎知識から史料活用まで」(スタイルノート)が評判を呼んでいる。この日は、展示物の中にある電気蓄音機と持ち運び式の蓄音機が使用され、毛利さんは2台の違いについても分かりやすく紹介した。

 1曲目は、ビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」(1954年)。幕開けにふさわしい迫力満点の曲で、電気蓄音機のパワーを伝えるのにも適していた。電気蓄音機について、毛利さんは「真空管が仕込まれており、スピーカーで増幅して音を出す電気式の機械。これは、1940年代後半から50年代、日本コロムビアの特約店が店頭に置いていた試聴用のものです」と説明。

 保利さんは「ボリュームは7分目ぐらいだが、音がクリアだし爆発力もすごい。クレデンザという豊かな音の蓄音機が有名だが、世界で現存数は多い。店頭用のこちらは廃棄されて残存数が少なく、貴重だと思います」と付け加えた。

レコードを蓄音機にセットする保利さん
レコードを蓄音機にセットする保利さん

 2曲目、戦時下における国民総意の歌「そうだその意気」(1941年)では、もう一方の蓄音機が使用された。「電気蓄音機が普及する前に日本の皆さんがよく使っていたもので、手巻き式のゼンマイで動力を確保するというアコースティックな、言葉を換えると原始的な構造を持っている蓄音機です」と毛利さん。蓄音機として一般にイメージされるラッパ型のものが進化したもので、ラッパ部分が箱の中に潜り込み、さらにカバン状になり持ち運びができるタイプだという。

 毛利さんは初めて見る人の立場になることを心がけていたようで、ゼンマイ巻き作業にいそしむ保利さんに対して、「まず回すところから始まるんですね。何巻きぐらいしているんですか」「巻きすぎると切れるんですよね」などと、投げかけていた。

美空ひばり、笠置シヅ子の歌声も披露

名盤の音色を会場に響かせた電気蓄音機
名盤の音色を会場に響かせた電気蓄音機

 選曲はジャンルや国内外のバランスに配慮し、時宜を得たものになった。この日は日本の大スター、美空ひばりの命日にあたり、彼女が歌ったジャズ「上海」「スターダスト」(ともに1953年)も紹介された。また、スペインのカルロス・ガルデルが1935年に飛行機事故で亡くなってしまった日でもあるといい、彼の歌唱によるアルゼンチン・タンゴ「ジーラ・ジーラ」(1930年)も取り上げられた。

 一方、この日は来年秋から放送されるNHK連続テレビ小説が、笠置シヅ子をモデルとした「ブギウギ」になると発表されたが、毛利さんは笠置がパワフルに歌う「ジャングル・ブギー」(1948年)も披露した。戦後の日本を席巻した大ヒット曲として、元々、用意していたものだったという。

 毛利さんが「レコードは、時として歴史的資料になる」と言って紹介したのが、歌人の与謝野晶子や詩人の北原白秋による朗読のレコード。二人の短歌や歌詞はよく知っていても、肉声を聴いたことがある人は多くないだろう。

 与謝野は、弦楽四重奏に合わせて「源氏物語」の「桐壺」を朗読しており、その演奏を担ったのは音感教育で知られる「スズキ・メソード」の創始者、鈴木鎮一らの4兄弟であるという。こうした豆知識も、毛利さんは随所で披露していた。

 さらに、日本初のジャズシンガーで、毛利さんが評伝を著すほど敬愛する二村定一の「アラビアのうた」(1928年)、フランスで第1回のディスク大賞を受賞したというリュシエンヌ・ボワイエのシャンソン「聞かせてよ愛の言葉を」(1930年)、ベニー・グッドマン・オーケストラによる「シング・シング・シング」(1937年)など、今も聴き応えのある名演が次々に流され、来場者が拍手を送る場面もあった。

        ◇

「明治・大正・昭和 レコードと暮らし」展は、7月29日まで同ビル3階ギャラリーで開催中。7月22日には、「レコード愛好家座談会」として、グラフィック・デザイナーの岡田崇さん、バンジョー奏者の青木研さんがレコードを鑑賞しながら、SP盤の魅力を語ります。青木さんは演奏も披露します。午後6時から7時半まで。申し込みははがきで、参加希望日、住所、氏名、年齢、電話番号を明記し、〒100・8055 読売新聞東京本社ブランド企画部「音楽イベント」係へ。締め切りは7月14日必着。当選者のみにはがきで連絡します。

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