近い!神々しい! 至福のライブ体験・戦隊“魂”

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思い出のZEPP TOKYOにお別れ

 スーパー戦隊シリーズの主題歌、挿入歌のライブ「スーパー戦隊“魂”2021」に行ってきた。ここ数年は日程的に参加できず、昨年はコロナ禍でオンライン視聴を選択したので、会場でこのライブを見るのは本当に久しぶりだ。会場のZEPP TOKYOが近く取り壊されるため、この場所での戦隊“魂”は最後でもある。思えばZEPPには、かつて深夜のアニソンイベント「ゆかいな仲間たち」に自著の宣伝で出演させていただいた思い出もある。明け方4時くらいにアニソンシンガーの奥井雅美姉さんと、おそろいのミニスカ衣装でピンクレディーを歌い踊ったのだ。そんな思い出のある会場にお別れを告げる意味も含めてのライブ参戦となった。余談だが、あのステージでピンクレディーを踊った新聞記者は後にも先にも私ひとりだろう。

 拝見したのは、2日連続で開催されたライブの2日目。いつもの2階の関係者席がコロナ禍で存在しないため、1階フロアで拝見したが、夢を見ているように幸福な時間だった。自宅で配信を見ることに慣れてしまった身としては、ナマでみるシンガーの皆さんがとにかく近いことに改めて驚く。映像のアップで見るよりは遠いはずなのに、とても近く感じるのが不思議だ。そして、近いけれど、色とりどりのライトが交差する中で歌うシンガーが、神々しいのだ。歌ごとに違う色の世界がステージ上に紡ぎ出されていく。もちろん、映像ならではの魅力があることは昨年の配信で十分感じたが、リアルのライブには映像とは別の魅力がある。

 何より、カメラが選んだシーンではなく、自分が見たいものを見られることがうれしい。「ここはコーラスのアップルパイとザ☆カインズを見たい」とか「間奏の時の背中を見たい」とか、個人的な「見所」は人それぞれだ。自分で好きなように好きなタイミングでステージを見るのがこれほど楽しくぜいたくなことというのは、コロナ禍前は想像もしなかった。

 特撮ソングにはもともと、「ここで手拍子2回」「5本の指を広げて前に突き出す」など、ライブを重ねるごとに自然発生的に浸透してきた客席の振りやかけ声、客席が受け持つ(?)コーラスがある。このうちかけ声とコーラスはコロナのために封じられてしまったが、その分、「振り」はさらなる進化をとげていた。「ドッカーン」と爆破音を叫ぶところでは爆破っぽく両の手のひらを上に突き上げる動きが大きくなったようだし、コーラスの所では両手をウェーブのように動かす動きが増えたように思う。全部やっているとかなり忙しいが、なかなか楽しい。

歌ういさおさん(写真はすべてバースデーソング提供)
歌ういさおさん(写真はすべてバースデーソング提供)

 ライブは、元祖戦隊ソングである「進め!ゴレンジャー」を歌うささきいさおさんと堀江美都子さんの登場でスタートした。随所にかけ声をかけたくなる仕掛けのあるこの歌、しかも戦隊45作というアニバーサリーイヤーでの熱唱に、客席は全力で振りをつけ、思いの丈を発散する。全てはこの歌から始まったと思うと実に感慨深い。いさおさんは続けて第2作の「ジャッカー電撃隊」も歌ってくれた。

 「天装戦隊ゴセイジャー」などを歌ったNoBさんは客席を見ていて、「みんなの『テンソウ!』というかけ声、僕には聞こえたよ!」と叫んでいたが、本当に心の声が会場中に響いていたと思う。マイクスタンドを自在に振り回してのパワフルな歌唱はナマでみるとより迫力がある。サイキックラバーのYOFFYさんは「侍戦隊シンケンジャー」の間奏などに一本締めを取り入れるという斬新なアイデアをひっさげ登場。リズム的にも歌の世界観的にも奇跡的にマッチし、ものすごい一体感だった。

けんたろうお兄さんのパワフルなステージ
けんたろうお兄さんのパワフルなステージ

 「高速戦隊ターボレンジャー」などを歌った佐藤健太さんは黒のコートからレッドターボ・炎力の衣装への早替えを今年も見せてくれ、耳だけでなく目も楽しませてくれた。けんたろうお兄さんこと、速水けんたろうお兄さんの「オーレ!オーレンジャー」では皆で「オーレ!」のポーズをとり、「虹色クリスタルスカイ」では歌詞が歌いあげる不屈の精神に涙した。この日、最若手の伊勢大貴くんは、「烈車戦隊トッキュウジャー」などを本当に「ステージ狭しと飛びはね」ながらも息切れ一つなく熱唱。若いって素晴らしい(笑)。

コール&レスポンスもすっかり定着した高取さん
コール&レスポンスもすっかり定着した高取さん

 パワフルな「動物戦隊ジュウオウジャー」などを聞かせてくれた高取ヒデアキさんは、お約束の「盛り上がってるかい?」「イエーィ」「どこから来たんだい?」「家~」のコール&レスポンスのコロナ禍バージョンを今回も披露した。「家」のところで両腕で家の形を作るレスポンスはすっかり定着したようだ。「獣拳戦隊ゲキレンジャー」の谷本貴義くんは「ゲキレンジャー」の高音で伸ばすところを客席に振るお茶目を今回は封印して、しっかり全曲歌い上げた。「後半、半音上がってからが勝負だね」とYOFFYさんに茶化されていたが、歌の前のトークでもあまり話さず声帯を温存して臨んだ歌は見事であった。

 「地球戦隊ファイブマン」の鈴木けんじさんはハートフルなエンディングを歌う前のトークが絶妙で、客席は笑ったり泣いたり忙しい。「超獣戦隊ライブマン」の嶋大輔さんはさすがの存在感。何より、健太さんの歌でも感じたが、本物のレッドが当時と同じ主題歌を歌ってくれることが、涙が出るほどうれしかった。

初参加のつるのさん
初参加のつるのさん

 今回の初参加は、放送中の「機界戦隊ゼンカイジャー」主題歌を歌う、つるの剛士さん。ウルトラマンダイナ・アスカ役としても有名なつるのさんは、登場するや光線技のポーズをとり「光の国から来ました」と挨拶して客を喜ばせた。今年はほとんどナマの舞台で歌う機会がなく残念という。その分のエネルギーをぶつけたようにパワフルなステージだ。つるのさんが歌う挿入歌「5Together!ゼンカイジャー」はNoB(山田信夫名義)さん作曲。つるのさんは「僕は『聖闘士星矢』の大ファンなのでものすごくうれしかった」と語り、披露してくれた。つるのさんに続き、伊勢くん、高取さん、そしていさおさんと堀江さんが次々とゼンカイジャーの挿入歌を歌い、場内は沸きに沸いた。例年ならキャンペーン先などで聞く機会がある挿入歌だが、今年は主題歌よりさらに聞く場がないため、本当に得難い機会であった。さらに、3人そろわないと聞けない「バーサス!スーパー戦隊」を高取さん、YOFFYさん、谷本くんの3人で歌ってもらえたことにも思わずガッツポーズをしてしまった。

花のモモレンジャーを熱唱する堀江さん
花のモモレンジャーを熱唱する堀江さん

 圧巻だったのは、堀江さんの「花のモモレンジャー」からの終盤のゴレンジャーコーナーであった。モモレンジャーの歌が歌われるのがレアなうえ、堀江さんの歌声がCDやテープで聞いていたのと変わらぬものだから放送当時の思い出が色々よみがえり、懐かしく、幸せな気持ちになった。そのうえいさおさんの歌う「見よ!!ゴレンジャー」では、なんと堀江さんまでがコーラスに加わってくださり、重厚な、ライブならではの歌を堪能した。

 気がつけば、すでに換気休憩含め3時間半が経過していた。お尻が痛くはなったものの、そんなことを上回る本当に幸せな、あっという間のライブだった。心から参加して良かったと思っている。コロナという疫病に立ち向かうためには、行動の変容がもちろん必要だけれど、それと同じくらい、心に栄養を与えて、元気にしっかり前を向いていることが大事なはずだ。その意味で、くたびれた心をしゃきっとさせてくれる特効薬のようなライブだった。来年は、別の会場で開催される方向という。そのときには、きっとみんなで合いの手やコーラスも入れられる、そんな世界が戻っていてほしいと願わずにいられない。

プロフィル
鈴木 美潮( すずき・みしお
 読売新聞教育ネットワーク事務局専門委員。1989年入社。政治部、文化部、メディア局編集委員などを経て現職。日本テレビ「イブニングプレスdonna」(キャスター)「ラジかる!!」(コメンテーター)「PON!」(同)や、ラジオ日本「美潮シネマズ」などに出演。特撮ヒーロー(特に仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズ)が大好きで特撮関係者を招いてのイベント「340(みしお)Presents」を2003年より主宰。著書に「昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか」(集英社文庫)。また、美空ひばりさんの大ファンで、今年は33回忌法要ツアーの司会を務めた。読響アンサンブルシリーズプレトーク司会も担当している。
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2521354 0 日本特撮党 党首の活動報告 2021/11/15 17:00:00 2021/11/15 17:00:00 2021/11/15 17:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211115-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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