「次郎祭」3回目のオンライン 静かな熱気もうれしいが

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 3回目の「次郎祭オンライン」であった。主役のアクション俳優、岡元次郎さんが登場するや、わき起こる大歓声、握手を求めて次々と腕を伸ばす人たち、次郎さんを慕う仲間たちが詰めかけて出番を待つ「密密」な楽屋。そんな光景が見られなくなって3度目、今回で16回目の静かな次郎祭だった。配信のカメラとの接し方に、次郎さんが慣れていたり、次郎さんのアップを捉えるために新しいライトが用意されていたりしたのが、もちろんうれしいのだけれど、オンラインになってからの日々の長さを思わせて、ちょっと切ない。

次郎さんの名乗り
次郎さんの名乗り

 配信の大きな利点は、静かにじっくり話を聞けることだろう。今回も、次郎さんの近況からじっくり話を聞いていった。まずは昨年まで放送していた「仮面ライダーセイバー」でバスターを演じていたお話。同作では敵側を演じた相馬圭祐さんと久々の再会を果たせてうれしかったという。相馬さんは「侍戦隊シンケンジャー」で次郎さんが演じたシンケンゴールドの「変身前」だ。「当時の明るいイメージがついているから大変だろうに、見事に今回の悪役を演じていて素晴らしいと思った」と次郎さんは振り返る。相馬さんには「(自分の変身後を)やってくれないんですか」と聞かれたというが、さすがにバスターを演じていたので無理と断ったと笑う。

 昨年はNHK大河ドラマ「青天を () け」にも、主役の渋沢栄一を襲う暴漢役で出演を果たした。放送当時SNSなどでは「次郎さん、強そうすぎる」「渋沢、命拾いしたな」と盛り上がるほど、印象に残る暴漢であった。次郎さんは「演出家から昭和の大御所のイメージで、と言われたので、時代劇の成分も加味して演じてみた。うまくいっていたとしたら、演出の方がいいところをつまんでくださったからでしょう」と謙虚に語る。

 また、今年は「仮面ライダー龍騎」から20周年の記念イヤーということで王蛇の話も。「走る時に腕のあたりをふくらませて指を動かし、コブラをイメージした動きにした」と語る。一度見たら忘れられない気だるく首を回す動きも、「身体全体でウェーブを作り、蛇を意識した」のだそうだ。ちなみに、こちらの変身前を演じた萩野崇さんとも、1996年放送の「超光戦士シャンゼリオン」以来の長い仲だ。萩野さんとも最近会ったそうで「彼も全く変わっていない」と語っていた。こうして「変身前」の人と「変身後」の人が「その後」も仲良くしている話を聞くとうれしくなってしまうのは私だけだろうか。

 昨年は仮面ライダー50周年という節目の年となったがそれについては「その歴史に参加出来ただけでもすごいこと。あれがあるから、今ここにいられる」とかみしめる。デビュー作の「仮面ライダーBLACK」を今見ると、「とにかくアクションは未熟で、どう動こうかと考える余裕などなく、ただ体当たりで向かっていっている自分が写っている」という。そのうえで「たぶんその勢いこそが新しいヒーローにつながったのではないか」と分析していた。

2人で実体化したいいんだよグリーンだよズ
2人で実体化したいいんだよグリーンだよズ

 そんな前半の真面目なトークから一転、中盤からは、イベントではおなじみの緑色の2人組ヒーロー「いいんだよグリーンだよズ」が登場し、歌う代わりに次郎さんがジェスチャーで歌を表現する「歌ジェスチャー」などのゲームに参加した。最初に登場したのは、植村喜八郎さんに似ている方(本人は「誰だ、喜八郎って」と否定する)だけで、もう一人の武智健二さんに似ている方(同じく「武智って誰だよ」と本人はキレ気味に語る)はほかのお仕事のため遅れて登場したのだが(植村似によると、「ずっと舞台上に存在していたが、心がきれいでないと見えない」そうだ)、この日のやり取りで、植村似が「いいんだよグリーンだよ」で、武智似が「ズ」であることが明らかになったことはここに記しておきたい(笑)。

ソーシャルディスタンス殺陣
ソーシャルディスタンス殺陣

 さらに、村岡弘之さん、清家利一さん、金田進一さん、白井雅士さん、おぐらとしひろさんら、次郎さんのJAEの仲間たちも登場。トークやゲーム、さらには距離を置いてアクションをする「ソーシャルディスタンス殺陣」を披露してくれた。村岡さんは額に大きなたんこぶを作っての登場で「え、どんな激しいアクションを……」とびっくりしたのだが、キャラクターの面を脱ごうとしたところ、面についているゴムのため面が跳ね返ってきてこぶを作ったそうだ。「20メートルの崖から飛んでもけがしないが、30センチの岩から飛ぶとけがをする」というのは以前から還暦祭で語られている「スーツアクターあるある」だが、こういう話をきくと、本当に日常にこそ危険が潜んでいるのだな、と実感する。

 清家さんからはお嬢さんがまさにこの日、入籍したというおめでたい報告があった。現在はマネジャーとして働く金田さんからは、ながーい話のあとに次郎さんに「方向音痴ですか」という謎の質問が(笑)。

最後はとびきりの笑顔で
最後はとびきりの笑顔で

 今年は「タイムトラベラーマサシ」として登場した白井さんは、ドン・○ホーテで音声チェンジャーつきのマイクを購入して持参したが、残念、配信だとそのすごさが伝わらないどころか、単に聞こえにくい人となってしまっていた。でも、白井さんの「伊勢エビ」のジェスチャー、すごかったです。おぐらさんは「ズ」さんの横で「ズ」さんのテンションにいささか困惑気味。こちらも「金魚」のジェスチャーがなんともかわいらしかったです(笑)。

 そしてなんといっても白眉はラストの次郎さんによる「名乗り」である。BGMもキャラクターを名乗る声もない中で次郎さんは仮面ライダーBLACKやBLACK RXなど自分で選んだ七つのキャラクターの「名乗り」を見せてくれた。しんと静まりかえった会場で、次郎さんが場内に一礼して、次々と名乗っていく姿は、なにやら神々しくすらあった。

浅井さんも駆けつけました
浅井さんも駆けつけました

 終演5分前には撮影現場からJAEの浅井宏輔さんがかけつけた。BLACKで育ち、筋金入りの次郎さんファンである浅井さん、次郎さんに「セイバーでご一緒出来て一生の夢がかないました。これでやっとスタートラインに立てた気がします」と語った。浅井さんが感無量といった表情で口にした「次郎さんは僕の人生そのものです」という言葉は、この日日本中で配信画面を見てくれたファンの声を代弁していたと思う。

 そして、来年こそは、この熱気も面白さも神々しさも全部ナマでお届けしたい。コロナ前の次郎祭を絶対に取り戻してやる、と私も心に誓ったのだった。

プロフィル
鈴木 美潮( すずき・みしお
 読売新聞教育ネットワーク事務局専門委員。1989年入社。政治部、文化部、メディア局編集委員などを経て現職。日本テレビ「イブニングプレスdonna」(キャスター)「ラジかる!!」(コメンテーター)「PON!」(同)や、ラジオ日本「美潮シネマズ」などに出演。特撮ヒーロー(特に仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズ)が大好きで特撮関係者を招いてのイベント「340(みしお)Presents」を2003年より主宰。著書に「昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたか」(集英社文庫)。また、美空ひばりさんの大ファンで、今年は33回忌法要ツアーの司会を務めた。読響アンサンブルシリーズプレトーク司会も担当している。

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