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    燃え出す金属スクラップ

    不正輸出のエアコン 原因か

    • 港の岸壁や集積所で雑品の山が燃える火事が7、8年前から目立つようになった(2009年9月、大阪湾の港で、環境省提供)
      港の岸壁や集積所で雑品の山が燃える火事が7、8年前から目立つようになった(2009年9月、大阪湾の港で、環境省提供)
    • つぶれたエアコンの型番などを調べる環境省と弥富市の職員(5月23日、愛知県弥富市で)
      つぶれたエアコンの型番などを調べる環境省と弥富市の職員(5月23日、愛知県弥富市で)

     「雑品」と呼ばれる輸出用金属スクラップを積んだ船や、雑品の集積場から出火するケースが各地で相次いでいる。

     出火のメカニズムを調査した結果、正規の処理ルートをはずれ、雑品と混ぜて主に中国へ不正輸出されているエアコンの存在が浮かび上がってきた。こうした事態を受けて、自治体と環境省が雑品の中身のチェックを強化し、適切な処理を指導するなど、本格的な対策も始まっている。

    雑品火災の裏側

     海上保安庁によると、雑品を積んだ船舶の火災は2012年に11件、13年は6件発生。今年もすでに3件起きた。雑品などの屋外集積所で起きた火災は、総務省消防庁の調べで13年には264件を数えた。原因不明のケースが大半だが、雑品がらみの火災は各地で社会問題化している。

     12年1月、兵庫県尼崎市の廃材置き場では高さ10メートルの雑品の山が43時間も燃え続け、消防車19台が出動した。13年11月、愛知県豊橋市の埠頭ふとうで雑品を積んだ船から出火した際には、煙が周辺に広がり、市民から苦情が寄せられた。

     金属のスクラップからなぜ火が上がるのか。国立環境研究所や消防研究センターなど六つの機関・大学が合同調査した結果、リチウム電池のショートなどのほか、鉄やアルミニウムなどの金属を高い所から落としたり、つぶしたりする作業で、衝撃により熱や火花が発生することが分かってきた。それが雑品中に混じるプラスチックや油などに燃え移り、火災の原因となる、というメカニズムだった。

     調査チームの元消防研究センター火災災害調査部長の古積博・千葉科学大客員教授(63)は、「実験で、アルミを多く含むエアコン室外機を高さ10メートルから鉄板の上に落とすと、衝撃で火花が出た。発火原因のひとつとなっている可能性は高い」と言う。

    廃家電の不正処理

     雑品は鉄、アルミニウム、プラスチックなどを含む不用品のスクラップ。主に中国に輸出され、現地で手作業で分別し、金属類が再利用される。輸出量は年数百万トンに及ぶ。

     一方、家庭用エアコンは、洗濯機やテレビ、冷蔵庫からなる「家電4品目」のひとつとして、家電リサイクル法に基づき、小売店から指定引き取り場所を経て、家電メーカーのリサイクル工場で処理される。しかし実際、この正規ルートで処理される廃家電は、排出総量の67%(12年度調べ)で、3分の1が不正処理されているのが実態だ。銅やアルミニウムを含むエアコンを雑品に紛れさせて輸出すれば、高く売れる。環境、経済産業の両省は、雑品として輸出される家電4品目は12年度で計130万台と推計。うちエアコンは57万台とみている。

    立ち入りの現場

     「不正な輸出で火災が起き、雑品に混ぜるためにつぶす際、冷媒のフロンガスが放出される。輸出先では雑品の残骸が野焼きされるなど、様々に環境を汚染している」と環境省幹部は指摘。全国の港では海上保安庁と環境省、経産省、消防などが連携し、雑品に混じるエアコンを船に積ませない指導が始まっている。

     名古屋市に近い愛知県弥富市と環境省中部地方環境事務所は5月末、回収業者から家電などを買い取り、輸出業者に売る「雑品屋」(ヤード業者)を立ち入り調査した。

     「この前言われた通り、取り除いておきました」。業者側が雑品の山の中から、つぶれたエアコンの室外機を運んできた。115個もあった。市と環境省は、このエアコンについて、リサイクル料金を払い、指定引き取り場所に運ぶよう業者を指導した。

     中国人社長(35)は、「エアコンは1台5000~6000円で買い取った。リサイクル料金は1台約2000円。ざっと100万円の赤字になる」とため息をついた。

     環境省や自治体は、不用品回収業者やヤード業者への立ち入り調査を今後、さらに強化し、不正を断つ構えだ。(河野博子)

    2014年06月22日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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