金密輸 売買を阻止 本人確認を厳格化…財務省方針

[読者会員限定]
無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 財務省は、急増する金の密輸を防ぐため、売買の現場での対策を強化する。密輸業者は消費税分を「利ざや」として稼いでおり、今年10月の税率10%への引き上げで密輸が拡大する恐れがあるためだ。金の買い取り業者に売り手の本人確認書類の写しの保存を義務づけるほか、税関の取り締まりなど水際対策も進める。

 消費税10%控え

 金を海外から持ち込む際は税関で申告し、消費税を支払う必要がある。密輸業者は香港など金に税金がかからない地域で購入して持ち込み、国内での売却時に価格に上乗せされる消費税分の利ざやを稼いでいる。

 金の密輸は、消費税率が5%から8%に引き上げられた2014年を境に急増した。17年の摘発は1347件、押収量は約6・2トンに上る。増税前の13年と比べて摘発件数は約110倍、押収量は約50倍に上る。

 税関を所管する財務省は今回の対策で、買い取り業者に対し、売り手が個人の場合はパスポートや運転免許証、法人の場合は登記証明書などの写しの保存を義務づける。密輸された金だと判明した際、売り手を追跡しやすくする。

 買い取り業者は書類を保存しなければ、仕入れにかかった消費税額を納税時に差し引くことができる「仕入れ税額控除」が適用されなくなる。納税時の負担が増すため、財務省は一定の対応が進むとみている。こうした対策は19年度税制改正大綱に盛り込まれ、10月にも始まる予定だ。

 金買い取り大手の田中貴金属工業(東京)では、身分確認書類用の複写機の増設や、保存用のシステム改修を全国の直営店と特約店の計約100店舗で行う予定だ。「事務コストはかかるが、税額控除が受けられなければ損失は甚大」(同社幹部)としている。一方、困惑の声も上がる。ある買い取り会社の幹部は「『疑わしきは買い取らず』は以前から徹底してきた。業者任せにされても困る」と話す。

 財務省は17年11月、全国の税関に門形の金属探知機を新たに配備するなどの対策を発表したほか、密輸業者への罰金の上限を実質的に引き上げている。金の輸出を担う大手商社には、密輸が疑われる金の買い取りをしないよう求めている。

 手口 巧妙化

 財務省が金密輸への対策を強化するのは、2014年の消費増税以降、密輸量の急増に歯止めがかからないためだ。17年に日本が輸入した金は5トン。これに対し、輸出量は215トンに上る。「輸出の大半が密輸された金」(経済産業省)とみられている。

 売り手の本人確認書類の写しの保存は、「密輸業者の売り先をなくす」(財務省幹部)狙いがある。買い取り業者は保存しておかなければ税負担が増えるため、一定の効果は期待できる。ただ、密輸業者の手口は巧妙化している。第三者を「売り子」に仕立てて追跡を逃れるなど「抜け道」を編み出す可能性がある。

 消費増税は社会保障費を賄う財源の確保が狙いだ。密輸業者に、もうけを増やす手段として悪用されてはならない。政府は、売買の監視と同時に水際対策も強化し、根絶を目指す必要がある。(経済部 柿沼衣里)

440898 1 経済 2019/02/13 05:00:00 2019/02/13 06:46:47 2019/02/13 06:46:47 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190213-OYT1I50026-T.jpg?type=thumbnail

ニュースランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ