構想67年、悲願の直通路線「効果は限定的」か

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おおさか東線の開業式典で直通快速の出発を見守る関係者ら(16日午前、JR新大阪駅で)=枡田直也撮影
おおさか東線の開業式典で直通快速の出発を見守る関係者ら(16日午前、JR新大阪駅で)=枡田直也撮影

 大阪府東部を南北に結ぶJR西日本の「おおさか東線」(新大阪―久宝寺、20・3キロ)で、未開通だった新大阪―放出はなてん(11・1キロ)の営業運転が16日始まった。これで全線が開業し、新幹線の「関西の玄関口」である新大阪と奈良が乗り換えなしで最短52分で結ばれる。奈良の観光業界がインバウンド(訪日客)の取り込みを期待する一方、「開業効果は限定的」とする見方もあり、関係者の注目が集まる。(井口馨、畑中俊)

 ◆実現に半世紀超

 16日午前、新大阪駅で行われた開業式典。JR西の来島達夫社長は「関西が大きく発展する契機になる」と胸を張り、奈良行き直通快速の一番列車を見送った。

 おおさか東線の構想は戦後間もない1952年に持ち上がったが、旧国鉄の財政悪化を理由に長年、放置されてきた。

 計画が再始動したのは87年の民営化がきっかけだ。大阪府や大阪市などがつくる第3セクター・大阪外環状鉄道が単線の貨物線を複線化し、JR西が線路を借り受けて運行を担う方式で2008年、南側の放出―久宝寺間(9・2キロ)を先行開業させた。今回開通した北側の新大阪―放出間は用地買収が難航し、ルートの変更などを経て、予定より7年遅れの開業となった。

 当初の計画より約43億円膨らんだ総事業費1243億円は、大阪府や大阪市、東大阪市など沿線自治体からの出資や補助金、貸付金で賄った。運行するJR西などから受け取る線路使用料をもとに、償還を終えるのは43年後だ。

 全線開業に伴い、大阪市内のJR野江、城北しろきた公園通、JR淡路、大阪府吹田市の南吹田の四つの駅を新設。約15分間隔で普通電車が運転され、新大阪から久宝寺までを約35分で結ぶ。JR西は1日平均約10万人の利用を見込んでいる。

 ◆観光の起爆剤

 全線開業に期待をかけるのが奈良の観光業界だ。久宝寺から関西線を通って新大阪―奈良間に1日4往復、直通快速を運行。これまで新大阪から奈良に向かう際に必要だった大阪駅での乗り換えがなくなり、所要時間も約10分短縮される。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの推計によると、17年に奈良県を訪れた外国人観光客は前年比26・5%増の209万人で、伸び率はインバウンドでにぎわう大阪(18・2%)や京都(12・3%)を大きく上回る。地元は、直通快速がさらに観光客を運んでくれると見込む。

 16日、奈良駅で県のマスコットキャラクター「せんとくん」と直通快速を出迎えた奈良市観光協会の高橋一専務理事は、「新幹線で新大阪に着いた観光客にとって『奈良に直接行ける』というイメージは、時間の短縮以上に大きい。直通快速の本数を増やすだけでなく、特急も運行してほしい」と期待を膨らませる。

 ◆効果未知数

 観光客だけでなく沿線住民にとっても利便性が向上する。おおさか東線は大阪駅北側に23年春開業予定の新駅「北梅田」(仮称)にも乗り入れが可能な構造で、JR西も前向きに検討中だ。さらに北梅田駅を拠点駅にする「なにわ筋線」が31年に開通を控えており、利用客の選択肢が増え、大阪環状線の混雑緩和につながる可能性も高い。

 一方で地元に与える経済効果などについては未知数な面も多い。

 「大阪中心部を通らない上、途中駅での私鉄との乗り継ぎも便利とは言えない。現状では開業効果は限定的だ」。鉄道評論家の川島令三さんは指摘する。鍵を握りそうなのが、25年に開催が決まった国際博覧会(大阪・関西万博)だ。現在、会場となる夢洲ゆめしまへのアクセスとして桜島線の延伸構想があり、「おおさか東線の電車が桜島線を通って夢洲に乗り入れることになれば、来場者への利便性が良くなるだけでなく、大阪全体の活性化にもつながるだろう」と提案する。

無断転載禁止
493539 0 経済 2019/03/17 12:22:00 2019/07/31 10:13:55 2019/07/31 10:13:55 おおさか東線のホームで行われた全線開業記念式典(16日午前10時17分、JR新大阪駅で)=枡田直也撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190317-OYT1I50026-T.jpg?type=thumbnail

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